猛暑でもファン付き作業服が使えない…「防爆エリア」の知られざる熱中症リスク (2/3ページ)
さらに、多用されるリチウムイオンバッテリーは過熱による引火リスクだけでなく、異常時に可燃性ガスを放出する懸念もある。目に見える炎だけでなく、微小な発熱、配線の摩耗、接触不良、静電気の蓄積もすべて着火源になり得る。そのため、ガソリンスタンドの給油ディスペンサー付近のような「第一類危険箇所」では、機器の構造や部品の組み合わせを含めた総合的な防爆性能が求められるとされる。
もっとも、防爆機器の選定にあたっては設備条件と機器仕様を厳密に照合する必要があり、現場管理者の専門知識の向上や適切な運用体制を維持し続けられるかという点には課題が残されている。
「Ex ib IIB T3 Gb」とは何か、防爆性能と冷却効果を両立このような現場の課題に対し、新コスモス電機が開発を進めているのが、防爆ファン付きウェア「AIR FLOW PRO」だ。同社の説明によれば、同製品はファンやバッテリーを含む電装部品の電気エネルギーを小さく抑えることで発火を防ぐ本質安全防爆構造「Ex ib IIB T3 Gb」を取得しており、第一類危険箇所でも安全に使用できる仕組みを構築している。
機能面では、服の中に効率よく空気を循環させる独自の立体構造を肩や背中回りに採用。バッテリーユニットを約200gと小型軽量化しながら、8時間の連続動作を可能にしている。さらに、産業医科大学との共同研究データによると、気温42℃、相対湿度50%の過酷な環境下において、同製品の着用により核心温や心拍数の上昇、平均心拍数の上昇幅が有意に抑制され、熱中症予防効果が学術的に裏付けられているという。
一方で、高い防爆等級や冷却効果が担保されているものの、実際の着用環境における作業強度や防護服との兼ね合いにより、全ての作業者に対して一律の効果が持続するかについては、今後のさらなる実証データの蓄積を待つ必要がある。