猛暑でもファン付き作業服が使えない…「防爆エリア」の知られざる熱中症リスク (1/3ページ)
猛暑の長期化に伴い、工場や建設現場で働く人の熱中症対策が急務となっている。ところが、可燃性ガスを扱う化学プラントやガソリンスタンドなどの「防爆エリア」では、一般的な電動ファン付き作業服が火花や発熱による着火源となる可能性があり、使用できない場合がある。
暑さへの対策を強化すれば爆発リスクが生じかねず、安全性を優先すれば作業者の身体的負担が増す――。こうした現場特有のジレンマを、企業はどう解消しようとしているのか。ガス検知器や防爆設計技術を手がける新コスモス電機に、防爆エリアにおける熱中症対策の現状と、労働安全を支える技術的なアプローチについて聞いた。
なぜ防爆エリアでは熱中症対策が進まないのか厚生労働省のデータによると、2025年の職場での熱中症死傷者は1,681人に達し、前年比約33%増で過去最多を記録した。全体の約4割が建設業と製造業で発生しており、同年6月施行の改正労働安全衛生規則により、事業者は実効性のある予防対策の推進を求められている。
しかし、化学プラントやガソリンスタンドなどの「防爆エリア」を抱える現場では、対策の導入に特有のジレンマがある。同社の説明によれば、可燃性ガスの漏洩リスクがある防爆エリアでは、一般的な電動ファン付きウェアは引火源になる恐れがあり使用できないためだ。現場からは防爆エリアで使用できる製品が少ないとの声が多く、潜在的なニーズが存在していたという。
わずかな火花が爆発を招くメカニズム――ファン付き作業服が使えない背景
可燃性ガスや蒸気が存在する危険場所では、なぜ一般的なファン付き作業服の着用が重大なリスクとなるのだろうか。同社の解説によると、これらの空間では、わずかな電気火花や静電気が可燃性ガスと空気の混合ガスに接触するだけで、局所的に数百℃以上の高温エネルギーが加わり、着火温度に達して瞬時に爆発を引き起こす危険性があるためだ。