『豊臣兄弟!』三法師の誘拐は史実?秀吉の“暴挙”、お市&勝家再婚の真意…第30回放送の真相考察
やるべきことや生き甲斐を見つけられると、人は悲しみを乗り越えられる。それが今回のテーマだったように感じました。
与一郎(大西利空)を亡くした悲しみを乗り越えるために女性たちは小袖を作り、信長(小栗旬)を喪った悲しみを乗り越えるために秀吉(池松壮亮)は織田政権の乗っ取り工作に動きます。
そして秀吉の野望を察知したお市(宮崎あおい)は、柴田勝家(山口馬木也)に自分を娶るよう命じました。亡き兄が遺した織田家を守るために。
各人の思惑が交錯した第30回放送「清須会議」今週も気になるトピックを振り返って参りましょう!
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清須会議の前日会議。当日はいわばセレモニーであるから、事前に根回しをしておくのは現代でもよくあること。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK
天正10年(1582年)6月27日、尾張清洲城(愛知県清須市)に四人の宿老が集まり、織田家の新体制について協議しました。
この清須会議(清洲会議)により、以下のことが決定されます。
(1)三法師の補佐体制
(2)織田家所領の再配分
(3)徳川家康(松下洸平)による甲斐・信濃領有承認 など。
三法師(清水伊織)の傳役には堀秀政(ほり ひでまさ)が就き、叔父の織田信雄(山脇辰哉)と織田信孝(結木滉星)が後見し、そして宿老四名が政務を補佐することとなりました。
織田家所領の再配分には弔い合戦(山崎の合戦)における論功行賞の意味合いが強く、秀吉はこれまでの播磨国・但馬国に加えて河内国・丹波国・山城国が加増され、織田家中における最大級の勢力を誇ることとなります。
いっぽう関東戦線で苦境に陥っていた滝川一益(猪塚健太)は清須会議に遅参し、織田家の方針決定に参画できなかったばかりか、甲斐・信濃国を徳川家に奪われたことで所領を大きく失ってしまいます。
代わりとなる所領が得られなかったことから秀吉の主導による決定へ不満を募らせ、勝家に与する原因となりました。
信雄による三法師誘拐は史実?
三法師を救出して一安心。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK
結論から言うと、そのような事実を裏づける史料の存在は確認できません。もし最新研究の結果として、そのような史料がございましたら、ぜひご教示ください。
つまり四宿老が「みんなで力を合わせた昔を思い出し、結束を固める」ためのイベントとして、信雄は汚名をかぶせられたのでしょう。
ところで信雄が三法師を誘拐する動機がよくわかりません。まんまと誘拐に成功して三法師の身柄を手元に置いたところで、名代を務める正当性が認められず、単なる謀叛として粛清の口実を与えてしまうだけです。
こういう後先を考えない危機意識のなさから、信雄の暗愚さを表現したかったのでしょうか。
ちなみに清須会議の後に、信孝が三法師を保護したまま放さないという事態が起こりますが、それを先取りしようとしたのかもしれませんね。
侍女とのチャンバラシーン?は今回の見せ場だったのでしょうか。また勝家が身体を張って三法師と秀吉を守った場面は、どこかで見たような気がしました。
それにしても織田家宿老クラスでありながら、身辺に警護の一人もついていないというのは、不用心で見ているこちらが心配になってしまいます。
秀吉が三法師を抱えて登場した場面は?
三法師を抱え、群臣を平伏させてご満悦の秀吉。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK
「またみんなで一から力を合わせて戦おう」なんていい感じの空気を作っておきながら、あえてそれをぶち壊し、三宿老に喧嘩を売った秀吉。黒田官兵衛(倉悠貴)の「殿らしい」みたいなセリフは、感心しているのか、恐らく呆れているのかもしれません。
『太閤記』などで描かれる「三法師を文字通り担ぎ上げて宿老や群臣らを平伏させる」という場面は、あくまでフラットな状態から意表を衝くから効いたのです。
劇中の展開では、柴田勝家のように元から秀吉と対立している者はもちろん、丹羽長秀(池田鉄洋)や池田恒興(堀井新太)のように秀吉に与していた者たちさえ敵に回りかねないでしょう。
本当に「上様の思いを継ぐ」のであれば、順当に織田家の利益を最優先に考えればよかったはずです。それを自分でぶち壊してしまう展開は実に斬新でした。
果たして秀吉は、自分で上げてしまった天下獲りのハードルをどう乗り越えていくのか、注目が集まります。
対秀吉で結束!お市と勝家の結婚
お市と勝家。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK
永年想いを寄せ続けたお市との政略結婚を持ちかけられ、激怒する勝家。秀吉はそこまで読んだ上でけしかけたのでしょうか。
秀吉の話を聞いた茶々(井上和)が「母上を何だと思っているのか」と憤っていましたが、そりゃあなた、戦国時代の武家女性はみんな政略のコマです。もちろん戦国時代の武家男性が、みんな合戦や政務のコマであることは言うまでもありません。
勝家はこれまで正室を迎えたことがなかったようで(庶子がいるので妾はいた模様)、織田家とのつながりを持つならまたとない好機だったと考えられます。
ちなみにお市との結婚について、勝家は堀秀政にあてた書状でこのように記していました。
一つ、羽筑と申し合わす筋目 相違無き事
付けたり 縁辺の儀 弥其の分に候※『南行雑録』より、天正10年(1582年)10月6日付書状
【意訳】秀吉(羽柴筑前)と清須会議で決定したことについて、異存はない。追加。お市との結婚については、申し合わせ通りに行った。
異存はないし、申し合わせ通りに結婚したが、秀吉が不穏な動きをしているようで油断がならない。そこまで明記されてはいないものの、そこはかとなく行間から勝家の警戒感がにじみ出ているようです。
対秀吉で結束したお市と勝家は、これからどんな夫婦生活を描くのでしょうか。
第31回放送「これで、お別れにございます」
第31回放送「これで、お別れにございます」。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK
清須会議後の秀吉(池松壮亮)の行動が織田家中に波紋を広げる中、市(宮﨑あおい)は秀吉に対抗するため勝家(山口馬木也)に嫁ぐ。さらに信孝(結木滉星)が幼い織田家当主・三法師を岐阜へ連れ去ったことで、水面下の主導権争いが激化。小一郎(仲野太賀)は三法師を取り戻すべく重臣らの協力を仰ぐが、拒絶されてしまう。そこで「信長の葬儀を行う」という名目で関係者を集め、話し合いをしようとするが…
※NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。
そりゃそうでしょうよ(心の声)。ただ裏切るだけならまだしも、ガッツリ信頼させておいてから裏切るというゲス行為を目の当たりにしたら、誰も力を貸してくれるはずがありません。
三宿老にはそれぞれ支持者や協力者がいますから、そのネットワークを通じて羽柴兄弟のゲスぶりが知れ渡るのは時間の問題です。
敵を欺くのは知略ですが、仲間を欺くのはただの外道でしかありません。秀吉は今後、どうやって彼らを従え、織田政権の乗っ取りを成功させるのでしょうか。
サブタイトルの「お別れ」は、羽柴兄弟が長年(自分の妻よりも)憧れ続けたお市との別れを指しているものと思われます。果たしてどんな別れが描かれるのか、次週も目が離せませんね!
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