「売れにくい本」は誰が残すのか――出版市場の効率化で見えにくくなる“小さな声” (3/3ページ)
一方で、テーマの社会的意義を前面に押し出すほど、読者側が「自分とは無関係な世界の難しいテーマ」として捉えてしまう心理的障壁をいかに乗り越えるかという、市場側の不確実性も存在する。
小部数出版はどこまで持続できるのか読書日和では、歴史的な記録や当事者の体験だけでなく、純粋に読むことを楽しむための書籍も含め、幅広い企画を進めているという。
小規模な出版社だからこそ、大手では採算を合わせにくいテーマを扱えるという強みはある。その一方で、部数が限られれば売上規模も小さくなり、編集や制作、流通にかかるコストとのバランスを取る必要がある。
出版市場全体が縮小するなかで、「多く売れる本」と「少部数でも残す意味のある本」をどう両立させるのかは、独立系出版社だけの問題ではない。本として残すことで初めて後世に伝えられる記録もあれば、読者に届かなければ存在自体を知られないまま終わる本もある。
小部数出版が担える役割と、それを事業としてどう継続するのか。読書日和の取り組みは、出版市場が縮小する時代に「どのような本を残すのか」を考える一つの事例といえそうだ。
【取材協力】
読書日和
代表 福島憲太
https://dokubiyo.com/