「ご当地コスメ」は事業として続くのか 地域素材×産学官連携の可能性と課題 (2/3ページ)
原料を安定して確保できるのか、研究開発を継続できるのか、さらに一定の販売量を維持できるのかまで考える必要がある。
消費者の声をどこまで商品開発に反映するか化粧品は、同じ商品でも年齢や肌質、使用環境によって感じ方が異なりやすい。
市川氏によれば、同社には30代から70代まで幅広い年代の顧客がおり、保湿感や使用感などについて寄せられた意見を商品改善の参考にしているという。消費者の声を拾うことは、商品と市場とのずれを把握するうえでは重要だ。一方で、個々の感想をそのまま製品の性能評価とみなすことはできない。
特に化粧品の場合、「しっとりする」「使いやすい」といった使用感には個人差がある。幅広い利用者の要望を取り入れようとすれば、商品コンセプトそのものが曖昧になる可能性もある。どの意見を改善に反映し、どこからは商品の特徴として維持するのか。顧客との距離が近い地域発ブランドほど、その判断が問われる場面も増えそうだ。
大学の研究成果や地域資源を企業が商品化する産学官連携は、地域産業を生み出す手法の一つとして各地で取り組まれている。
企業にとっては、自社だけでは持ちにくい研究設備や専門知識にアクセスできる可能性がある。大学側にとっても、研究成果を社会で活用する機会になる。
しかし、研究成果が商品になったからといって、そのまま継続的なビジネスになるとは限らない。
研究段階では成立していた技術でも、量産時のコストや品質管理、原料供給などで課題が生じるケースがある。さらに化粧品の場合、既存ブランドが多い市場の中で認知を広げ、継続購入につなげる必要もある。産学官連携の成果を単発の商品開発で終わらせないためには、研究開発だけでなく、その後の製造、販売、マーケティングまで含めた事業設計が欠かせない。
「地域発」を持続可能な事業にできるか地方発の商品には、地域の素材や技術、研究機関とのつながりを商品価値として打ち出せる強みがある。