廃棄される花を「アート」に変えられるか フラワーロスと資源循環の新たな試み (1/3ページ)
イベントや展示、装飾などで使われた花の中には、短期間で役目を終え、そのまま廃棄されるものも少なくない。こうした「フラワーロス」は、花き業界における課題の一つとなっている。
その一方で、廃棄予定の植物を別の素材として再利用しようとする動きも出ている。
アトリエ朱雀を主宰する大川春雪氏は、植物を炭化させ、作品として再構成する「炭をいける®」という表現に取り組んでいる。いけばなの経験を背景に生まれたというこの手法は、廃棄される植物をアートへ転換する試みの一つだ。
資源循環とアートは、どこまで両立できるのか。大川氏に活動の背景を聞いた。
なぜ植物を「炭」にするのか大川氏はいけばな(草月流)をルーツに持ち、幼少期から祖母が花をいける姿を見て育ったという。
創作の転換点になったのが、オーストラリアに自生する植物「バンクシア」との出会いだった。
一部のバンクシアには、山火事などの熱をきっかけに種子を放出する性質を持つものがある。大川氏は、火を経た植物の姿から着想を得て、植物を炭化させる表現を始めたと話す。
一般的ないけばなでは、生きた植物の形や時間による変化も作品の一部となる。一方、植物を炭化すると、色や質感は大きく変わり、通常とは異なる素材として扱うことができる。
さらに、使用後の花材などを活用できれば、廃棄予定だった植物に別の用途を与えることにもなる。
ただし、こうした取り組みがフラワーロス全体の削減につながる規模になるかは別の問題だ。アートとして活用できる量には限りがあり、廃棄問題を解決する手段というよりも、素材の再利用方法を考える一例として捉える必要がある。