「お香」はなぜ今、暮らしに戻ってきたのか――千年続く香り文化の現在地 (2/4ページ)

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平安時代の香りを「再現」するのではなく再解釈する

Project Feliciaが展開するインセンスブランド「Bridge and Blend」では、平安時代に用いられた「六種の薫物」から着想を得た商品を手掛けている。

ただし、当時の香りをそのまま再現することを目的としているわけではない。Nakayama氏によれば、古くから続いてきた香りを調合する考え方を取り入れながら、現代の生活の中で使いやすい形に置き換えることを重視しているという。

同ブランドでは、香木や植物などの天然香原料を粉末にし、水と合わせ、日本の職人が製造する方法を採用している。複数の香原料を組み合わせることで、一つの香りだけが際立つのではなく、時間の経過によって感じ方が変わるような香りを目指しているという。ただし、天然原料や職人による生産を続ける場合、原料の安定調達や技術継承という問題も避けられない。

自然由来の原料は供給量や価格が一定とは限らず、伝統的な製法を担う人材を継続的に確保する必要もある。

伝統的な素材や製法を商品価値として打ち出すほど、それを将来にわたって維持できる仕組みも同時に問われる。

香りの価値はどこまで言葉にできるのか

香りの価値はどこまで言葉にできるのか

香りは、視覚や言葉とは異なり、人によって受け止め方が大きく異なる。同社の商品を体験した人からは、「落ち着く」「懐かしい」といった感想が寄せられるという。

日本人の場合、寺院や古い家屋など、過去に嗅いだ香りと結びつけて語る人もいる。一方、日本とは異なる文化的背景を持つ人からも、似たような感覚的な反応があるとNakayama氏は話す。ただし、こうした反応はあくまで個々人の感想であり、特定の効果や効能を示すものではない。

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