納得できる獣医療とは何か 長寿化するペットと家族を支える動物病院の模索 (3/4ページ)
そこで同院では、獣医師やスタッフが知識や情報を共有しながら診療にあたる「チーム医療」を重視しているという。
吉川氏によれば、個人の経験だけで判断するのではなく、必要に応じてスタッフ同士で意見を出し合いながら診療方針を考えている。
動物病院では、診察だけでなく、検査、入院管理、投薬、飼い主への説明など、複数のスタッフが関わる。それぞれが動物の変化に気づき、情報を共有できれば、診療の判断材料も増える。
一方、チーム医療を機能させるには、スタッフ間での情報共有や教育も欠かせない。知識や経験に差がある中で、どのように診療方針を共有するのか。人材を育てながら一定の医療水準を維持することも、動物病院経営では重要な課題となる。
病院に来ていない時間をどう支えるか動物が病院にいる時間は、生活全体から見ればごく一部だ。日々の食事や運動、体重の変化、排泄の状態など、病気の兆候は家庭で現れることが多い。そのため、病気になってから治療するだけでなく、普段の生活から健康状態を把握することも重要になる。
ぶんペットクリニックでは、オンラインの健康管理ツールなどを取り入れながら、病院外での健康管理にも取り組んでいるという。体重の記録や給餌量、カロリー計算などを日常的に管理することで、飼い主自身が小さな変化に気づきやすくする狙いがある。吉川氏は、動物病院を「病気になったときだけ行く場所」ではなく、日常的な相談ができる場所にしていきたいと話す。将来的には、地域イベントなどを通じて、飼い主同士が交流できる機会もつくっていきたいという。
ただし、オンラインツールを導入しただけで健康管理が続くとは限らない。記録する手間もあれば、デジタル機器を使うことが得意ではない飼い主もいる。病院側にも、蓄積された情報を誰が確認し、どのように診療へ生かすのかという運用上の課題がある。便利な仕組みを増やすこと以上に、飼い主が無理なく続けられる方法にできるかが重要になりそうだ。
「最善の治療」と「納得できる治療」は同じなのか獣医療が高度化すれば、選べる治療は今後も増えていくだろう。