【CS開幕】"元祖カープ女子"低迷期を支えてきた「カープ熟女」の深層

デイリーニュースオンライン

 クライマックスシリーズの地元開催は惜しくも逃したが、長きにわたる低迷期を脱し、あわや優勝か!? と思わせる大躍進を見せた広島東洋カープ(以下、カープ)。カープ熱は広島県内にとどまらず、いまや全国的に広がっている。世田谷区祖師ヶ谷にあるスポーツバー「亀山社中」は、数多くのファンが詰めかけるカープ一色のバーとしてファンの間では超有名。そこで、3位からの下克上を目指して11日から始まるクライマックスシリーズを前に、カープへの熱~い思いを聞いた。

誰よりも修羅場をくぐり抜けてきた小窪がキーマン!

 まずは、広島県出身で生まれた瞬間からカープフ ァンという50代の男性。

「優勝がチラついたシーズン終盤、明らかに浮き足だっていたね。監督の勝負感のなさが、昔の優勝のときとの大きな違い。あと、とにかくカープの試合は長い! 疲労面を考え、負けるときはあっさり負けるジャイアンツを見習わなアカン。今年のカープにそれができとったら、そりゃあもうぶっちぎりで優勝しとるよ!」

 ただ、今年のクライマックスシリーズは期待できるのだとか。ファン歴30年の40代男性が、ビール片手にその理由をこう語る。

「菊池、丸、外国人に期待が行くってとこだけど、わしゃあ小窪に期待しとるんじゃ。小窪はPL、青学でキャプテンをつとめた男よ。名門校出身で学生全日本でもキャプテンに選ばれとる。くぐってきた修羅場は カープの中でも一番かもしれん。見てみぃ小窪の面構えを。あの顔はそういう顔しとるよ。その証拠が代打率.389じゃで! ありゃぁCSみたいな勝負所で大仕事できる男よ!!」

 また、終盤の調子のあがってこなかった投手陣にも、希望の光りが見えるのだとか。

「正直、春先に比べたら先発、中継ぎ共に疲労困憊でえらいことになっとる。しかもここに来てミコライオまで離脱……。そりゃぁもう酷い状態よ。だけど、一岡が間に合うかもしれんらしい。一岡が春先の状態に戻ってるなら、今のミコライオより期待値は明らかに高いよ! こりゃあ救世主になり得る! それと、今年で引退の横山。ピンチの場面で必殺の牽制球な! 横山の牽制は日本一よ。最後にもう一度みたいのぅ」

 11月の夜空に鯉のぼりが上がることを、ファン は信じて止まないのだ。

低迷期からカープを支える往年の「カープ熟女」たち

 そして、この鯉のぼりが天高く上がるのを後押ししているのが、「カープ女子」と呼ばれる女性ファン。しかし、華やかな若いカープ女子にばかり注目が集まるが、実は、若いコに負けじと球場に足を運ぶ、ベテラン女性ファンの存在を忘れてはいけない。言うなれば、「カープ熟女」と言ったところだ。

 某日、東京は神宮球場で行われたヤクルト戦で、10名前後のカープ熟女集団に遭遇。若いコにはまだ抱くことができないであろう、カープ愛を聞き出すことに成功した。

 ファン歴35年という40代の女性は、カープに取り憑かれた魅力を興奮気味にこう話す。

「なんでカープファンになったかって?  いまから25年くらい前かしら。私がまだ学生だった頃、小早川が格好よかったのよ~。それ依頼、もうカープの虜。小早川が引退しちゃったいまは、断然、松山くんね。去年のヒーローインタビューの『鹿児島のじぃちゃん、ばぁちゃん! 今日おれやったよ!!』ってあのセリフに完全に心を射抜かれちゃったわ。

 最初は何言ってんだこの子?って思ってたんだけど、その意味を知って感動しちゃってね。彼を大学に進学させるために、おじぃちゃんが家の牛を売って入学資金にあてたっていうのよ。純朴で良いなぁって。あ、顔だけで言えば、素直そうな岩ちゃんかな」

 また、野球に対して目の肥えたファンが多いのもカープ熟女の特徴だ。

「菊池は人類の限界を超えた選手だと思うわ。彼、無名校出身で野球の練習を本格的にやったのはプロになってから言うじゃない。それで、あの活躍。天才ね。去年は.247だった打率が今年は.325なんだから凄い進化だと思う。それに9月9月に150㎞を超えるストレートを打ち返したサヨナラ打。そういう劇的なこともさらっとやっちゃう。守備は言うまでもないわ。

 あとは、丸ね。スケールの違いはあるけど、マエケンが出てきた時とかぶる何かを感じるの。7月23日の九回同点ホームランとか、劇的な一打も多いし、ヒーロー要素がすごいわね」

「カープ女子の存在は、そりゃ嬉しいけど……」

 これが通称「菊丸コンビ」。このふたりが、カープを牽引していると言っても過言ではないのだ。そして話題は、いつの間にか「カープ女子」に。今日はわざわざ広島から駆けつけたという、40代の主婦はこう語る。

「若い子がたくさん来て盛り上げてくれるのは、そりゃ嬉しいわよ。でもあざといなって思う事もある。やっぱり流行りいうのもある思うんじゃけど、ある雑誌のカープ特集で集まった子たちは、マエケンすら知らなかったって言うじゃない。カープはファッションと違うんよ!! なんかそういうコって弱くなった瞬間に、カープファン辞めそうなオーラが出とるんよ。ほいでも、球場に来とるカープファンはみんな 仲間じゃけんね!!」

 やはり、長きに渡りカープを愛してきた熟女達の言葉は、浮かれ気味の若きカープ女子とは一線を画す重厚感がある。選手にとっては、実に心強い声援であることだろう。彼女たちのサポートがある限り、クライマックスシリーズ突破、そして日本一も夢ではない! そう思えてならないのは気のせいではないだろう。

(取材・文/井上智博)

「【CS開幕】"元祖カープ女子"低迷期を支えてきた「カープ熟女」の深層」のページです。デイリーニュースオンラインは、広島カープCSプロ野球スポーツエンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る