関西定番菓子「おにぎりせんべい」に隠された秘密

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「赤福餅と原材料の米が同じ」という噂!?

 おにぎりのような三角形の形をした、関西風の薄口しょうゆ味のせんべい――西日本では誰もが知っている「おにぎりせんべい」(株式会社マスヤ)には、実は三重県伊勢の名物「赤福餅」と密接な関係にある。

 なぜなら、おにぎりせんべい製造元である(株)マスヤの初代社長・浜田益嗣氏は、同時に、赤福餅製造元である「株式会社 赤福」の社長でもあったからだ。そもそも、なぜ伊勢名物・赤福餅の社長、浜田益嗣氏は、おにぎりせんべいを手掛けることになったのか。マスヤ関係者について、その内情をこう明かす。

「赤福餅の製造・販売を手掛けていたものの、『伊勢・名物』という商品の性質上、これを全国展開するには無理があった。仮に全国区にした場合、“名物”というありがたみが薄れる。そのため赤福餅の原材料であるコメの知識を活かして、広く製造できる何かを探した末、行き着いたのがおにぎりせんべいだったんです」

 1960年に慶應義塾大学を卒業後、(株)赤福に入社した浜田益嗣氏は、専務取締役に就任すると、赤福の拡大路線経営に乗り出した。折りしも、池田勇人内閣の登場、「所得倍層」政策が打ち出された時期と重なる。赤福の拡大経営路線のひとつが、“おにぎりせんべい”の製造・販売だったというわけだ。

 おにぎりせんべいと赤福餅のこうした関係から、ネット上では、ひと頃、「赤福餅で使っている原材料がそのままおにぎりせんべいで使われている」という噂が流れたことがあった。

 だが、これは、明確に事実と異なる。たしかに原材料は同じコメだが、赤福餅は「モチ米」、おにぎりせんべいは「うるち米」を原材料としており、その種類はまったく異なるものだからだ。

バイヤーは関東進出に意欲!?

 さて、全国区のヒット商品を目指して開発・販売されたおにぎりせんべいは、販路の問題から、静岡以西の西日本でしか販売されていない。他方、赤福餅は、百貨店の催事で行なわれる特別販売にて、広く、全国でも購入可能だ。当初の目論見とは間逆の格好である。

「関西ではロングセラーの商品だが、関東では昔から『濃いしょうゆ味が好まれる』として定着しなかった。しかし、最近では濃厚な味やソース味などのラインナップも豊富。いまなら、関東地域でも受け入れられるかもしれない」(流通大手バイヤー)

 いま、LINEではおにぎりせんべいのゆるキャラ「おにぎり坊や」のスタンプも販売されている。これをきっかけに、赤福餅に続いて、おにぎりせんべいも全国区となるか。今後の動向に注目したい。

(文・写真/秋山謙一郎)

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