奇病・電磁波過敏症が増加…スマホもパソコンもNGに

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現代人にとって最も恐ろしい過敏症!
現代人にとって最も恐ろしい過敏症!

 イギリス南西部のカーディフに暮らすピーター・ロイドの暮らしぶりは、さながら19世紀の生活ある。家こそ立派な戸建てだが、中にはヒーターもなければ、電灯もない。テレビもなければオーディオ機器、携帯電話やWiFiに繋がれたパソコンすらないのだ。それは彼が貧しいせいでもなければ、北米のアーミッシュのごとく素朴な生活にこだわっているわけでもない。ピーターは世界でも珍しい、電磁波や電磁場に対するアレルギー、通称「電磁波過敏症」(Electromagnetic Hypersensitivity/EHS)を患っているのである。

突如カラダに生じた謎の異変

 今年42歳になるピーターが、はじめて自分の症状に気付いたのは20代の半ばだった。当時ジムでトレイナーとして働いていた彼は、ある日、PCの画面を見つめていると、まるで頭の中が霧がかったように、モヤモヤとしていることに気がついた。“思考が何かにブロックされている”ように物事を考えることができなくなり、やがて喋ることすらままならなくなった。それからしばらく、体調不良の原因は全くわからなかったが、ある日ピーターはそれが当時自分が使っている携帯電話にあることに気がついたという。

 イギリスの新聞metroの取材に対し、ピーターはこう語っている。

「その頃、GSM電波に接続する大きな携帯電話を使ってたんですが、いつ頃からか、携帯電話が接続する特殊な電波に対して自分がとても敏感になっていることに気がついたんです。当時は身体が自然に慣れるだろうと思っていましたが、そうはなりませんでした。次第に酷い頭痛に悩まされるようになったんです」

 ちなみに、取材者らはデジタルカメラも使えなかったため、使い捨てのフィルムカメラでピーターを撮影している。

 そしてある日、ピーターは科学の雑誌を読んでいると、自分の症状とよく似た症状をみつけた。それは電磁波過敏症と呼ばれ、極めて稀ながら、世界で数千人の患者が存在する症状だったのだ。現在の彼の生活は、ほとんど寝たきりの老人に近い。町に溢れるあらゆる電磁波を恐れて、外出することもできなければ、訪問客もまた家を訪れる前に携帯電話や腕時計など電磁波を発するものを、家の外に置いていかなければならない。症状は年々悪化しており、今はキッチンにあるソファに座り、ロウソクの灯りを頼りに本を読んで1日を過ごしている。さらに現在は仕事もままならないため、ピーターは近日中に家を立ち退くことになりそうだと、取材者に話している。

増加の一途をたどる現代人を襲う恐怖

 この「電磁波過敏症」の歴史は意外に古く、1930年代にはラジオなどの電波や発電所の関係者、1940年代には軍のレーダー関係者といった専門職種から類似した報告がなされていた。そして1970〜80年代にかけて、コンピューターの発展と共に一般人からも報告されるようになり、2000年以降は携帯電話やWiFiの普及に伴い、増加の一途をたどっている。正確な患者数は不明だが、現在では30カ国でこの電磁波過敏症に関係した支援グループが設置され、スウェーデンやスペインでは正式に病気として認定された。症状は様々だが、顔面や皮膚に症状が集中することが指摘されており、頭痛や吐き気、だるさなども発生するという。

 しかしそのメカニズムや、症状についての詳しいことは、医学的にはほとんど分かっていない。そのため、ピーターのように、とにかく電磁波を発するものを避けて暮らす以外、今のところ対処法は存在しない。昨今では患者数の増加やその苛酷な症状から、ヨーロッパでは障害に認定すべきという声も上がっているが、いまだ社会的認知も低いのが実情である。

 猫アレルギーや食物アレルギー、さらには花粉症など、現代人を悩ますアレルギーや過敏症は、枚挙にいとまがない。しかしスマートフォンやWiFiが生活に不可欠なインフラとなりつつある現在、電磁波を避けて暮らすことは、もはや花粉を避けて暮らすことよりも難しいだろう。その意味で「電磁波過敏症」は、現代人にとって最も恐ろしい過敏症だと言うことができるかもしれない。

参照サイト/Mirror:Meet the man who has no TV, mobile phone or heating - because he is allergic to ELECTRICITY

(取材・文/X51

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