『クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』を暇なので、まじめに解説[その3]

あにぶ

クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2002
クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2002

その1、その2に引き続き、『クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』を真面目に解説します。

■春日家のとるべき戦略。

春日家は大蔵家が攻めてきた時点ですでに詰みである。この合戦に勝つ方法は、1560年に織田信長が今川義元へ行ったような地の利を生かした奇襲作戦しかない。

しかし、春日家のとった戦略は籠城である。
籠城は救援が来る見込みがある場合にとるべき戦略であるから、孤立無援の春日家がおこなうのは完全に悪手だ。
では、なぜこの悪手を春日家が採用したのか?
まずは大蔵家が動員した兵士の人数と麦の収穫の時期が関係しているのではないだろうか。
大蔵家が動員した人数は2万人である。この兵数を維持するためには兵糧を欠いてはいけない。兵糧とは食糧である。兵士が飢えてしまうと士気は下がる。やる気がなければ兵士は逃げ出すか、末端の兵士は略奪を始める。
多くの戦国大名は敵国で略奪を黙認するが、春日領には略奪するほどの富はない。また、春日家を滅ぼした後の領地経営に問題が生じるので、大蔵家はなるべく兵糧を欠くことは避けたい。

次に、麦の収穫の時期である。
多くの兵士は農民であり、合戦が終わったら麦の収穫をしなければならない。もし合戦が長引き麦の収穫の時期までに帰ることができなければ、兵士の士気は下がる。
つまり、大蔵家は早めに合戦を切り上げなければいけないのである。
城攻めは籠城する兵力の3倍以上の兵力で攻めなければいけない。春日家は持久戦に持ち込み、大蔵家の兵糧がなくなるまで攻撃を凌げば、痛み分けとなる。
勝利はしないが、負けはしない。

■大蔵家のとった戦略。

大蔵井高虎は、余裕のある態度を見せているが、戦略は抜け目がない。
まず、わざわざかがり火をたき、夜中に城を包囲する。これは心理作戦の一種だろう。かがり火の数を人数より多く持たせれば、大軍勢が攻めてきたと錯覚をさせることもできる。
この心理戦に家老の榊は騙されて、城から逃げ出しているので効果はあったようだ。

次に、刈働きや宿場町を焼くという嫌がらせもおこなっている。
刈働きとは、まだ収穫前の麦を刈り取ってしまうこと。宿場町を焼くのも春日家への嫌がらせだ。昼夜関係なく嫌がらせをして、春日家の兵士たちを眠らせないのも合戦を有利に進めるための戦略である。

これらの挑発をすることによって、怒った春日家の兵士が城から打って出てくるように、誘いをかけている。
こんな嫌がらせをする理由は、野戦へ持ち込むためだろう。
大蔵家は短期決戦を望んでいる。野戦は城攻めと違い人数がものをいうからだ。

(あにぶ編集部/もく)

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