【THE MANZAI】2014年漫才王者に輝くのはどのお笑いコンビか|ラリー遠田コラム

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栄冠は誰の手に!? 画像は番組オフィシャルホームページより
栄冠は誰の手に!? 画像は番組オフィシャルホームページより

【ラリー遠田のお笑いジャーナル】

 12月14日、衆議院議員総選挙に注目が集まるこの日に、もう1つの熱い戦いが繰り広げられる。今年一番面白い漫才師を決める大会『THE MANZAI 2014』(フジテレビ)だ。予選を勝ち抜いた11組のファイナリストと、敗者復活戦にあたるワイルドカード決定戦を勝ち上がった1組の計12組がぶつかり合うことになる。4組ずつ3グループに分かれて1本目の漫才を披露する。それぞれのグループで1組ずつが勝ち上がり、その3組が最終決戦で2本目の漫才を演じて、優勝が決まることになる。

 決勝の3つのグループについて、それぞれの見どころを解説していきたい。

【Aグループ】2丁拳銃/エレファントジョン/アキナ/磁石

 決勝の幕開けにふさわしく、安定感のある4組が並んだ。2丁拳銃は芸歴21年のベテラン。大きく崩れることはないだろう。一方、アキナのコンビ歴はまだ2年あまり。ただ、それぞれの芸歴は長く、今年10月には『キングオブコント2014』でも決勝に進んでいる。コントも漫才もこなせる器用な2人がどこまで結果を残せるか。

 このグループで最も予選の成績が良かったのは磁石(予選4位)。当然、勝ち上がり候補ではあるが、気になるのは過去の成績。磁石は過去大会で二度の決勝進出歴があるが、一度も勝てないまま惨敗している。予選の成績は悪くないのに勝てない、というのが続いているのも気になる。

 そんな磁石の対抗馬として挙げられるのがエレファントジョン。ツッコミ担当の加藤憲の話の進行をボケ担当のガッテン森枝がひたすら邪魔し続ける「茶々入れ漫才」が売り。初めての決勝ということで気合いは十分だ。

【Bグループ】トレンディエンジェル/馬鹿よ貴方は/囲碁将棋/学天即

 馬鹿よ貴方は(予選3位)、囲碁将棋(予選2位)、学天即(予選1位)と予選のトップ3が肩を並べる「死のグループ」。予選11位のトレンディエンジェルも『オンバト+』チャンピオンという実績を誇る実力者であり、どこが勝ってもおかしくない接戦が予想される。

 順当に考えるなら、オーソドックスなしゃべくりスタイルの囲碁将棋と学天即が本命。だが、両者とも決勝進出経験はあるが、勝ち上がり経験はない。自然な会話に近い形の漫才を演じるので、ネタや場の雰囲気によっては爆発力に欠けることもある。

 ダークホースとして気になるのは馬鹿よ貴方は。考古学者のような不気味な風貌の平井"ファラオ"光が、ぽつりぽつりと言葉をつぶやく。そのフレーズひとつひとつに破壊力があり、見る者の心を揺さぶる。2010年の『M-1グランプリ』で日本中に衝撃を与えたスリムクラブを彷彿とさせる芸風。今大会の台風の目になるかもしれない。

【Cグループ】和牛/博多華丸・大吉/ダイアン/(ワイルドカード決定戦の勝者)

 Cグループの3組の共通点は、いずれも正統派の漫才だということ。特に、いまやタレントとしても抜群の人気を誇る博多華丸・大吉の漫才はあなどれない。最近のお笑い賞レースでは、どうしてもスピード感のある漫才の方が評価されやすい傾向があるのだが、彼らの漫才は実にどっしりしている。決勝11組の中で芸歴も一番長く、すべての世代が安心して楽しめる漫才をやっている、という点でもナンバーワンの存在だ。

 Cグループでは、ワイルドカードと呼ばれる敗者復活枠が設けられているため、特に予想が難しい。ワイルドカードで勝ち上がった芸人には、一度負けていて失うものはもう何もない、という破れかぶれの勢いがある。うまく波に乗ると手がつけられない存在になるだろう。

 個人的な優勝予想としては、やはりBグループが最も激戦になることが予想されるため、Bグループを勝ち抜いた人がその勢いで最終的にも優勝するのではないか、という気がする。馬鹿よ貴方はが爆発力で勝るのか、他の3組が意地を見せるのか。そこが勝負の分かれ目になりそうだ。

ラリー遠田
東京大学文学部卒業。編集・ライター、お笑い評論家として多方面で活動。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務める。主な著書に『バカだと思われないための文章術』(学研)、『この芸人を見よ!1・2』(サイゾー)、『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)がある
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