東京駅の限定Suicaで大暴れ…鉄オタのトンデモマナー

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開業100周年を迎えた東京駅
開業100周年を迎えた東京駅

 12月20日、東京駅は開業100周年を迎えた。それに合わせて、JR東日本は券面に赤レンガ駅舎をあしらった「100周年記念限定Suica」を1万5000枚限定販売した。

 この限定Suicaの購入に際しては、前日から並ぶことは禁止することが事前に通達されていた。しかし、それらを破って前日夕方から並ぶ人が後を絶たなかった。

 翌朝、限定Suicaを求める人がさらに集まり、東京駅は早朝からパニックに陥った。ラッシュアワーには通勤客も合わさって、JR東日本は安全確保を理由に販売を中止した。この対応にファンの怒りは爆発。Suicaを求めて東京駅に集まった群衆は、暴徒と化した。

 これらの報道を目にして「鉄道ファンはマナーが悪い」「鉄道ファンは怖い」といった声も聞かれる。暴動は限定Suicaを求めて集まった人たちが起こしたものだが、これら全員が純粋な鉄道ファンかどうかは疑わしい。もちろん、なかには鉄道ファンもいただろう。だが、ヤフーオークションに出品して利ザヤを稼ぐ「転売ヤー」もかなりいた。

 実際、JR東日本は用意した1万5000枚のうち約8000枚を売ったところで、販売を中止した。直後から、ヤフーオークションには限定Suicaが続々と出品されている。卑しくも、鉄道ファンなら苦労して手に入れたお宝をやすやすと手放すことはあり得ない。

暴言を吐いたり暴力をふるう鉄オタも

 だからといって、鉄道ファンがまったく暴動に関与していないとも言い切れない。列車のさよなら運転や路線が廃止には鉄道ファンがこぞって訪れる。そして、一般乗客の迷惑を顧みずに撮影に没頭し、フレームインなどしようものなら暴力をふるったり、「邪魔するな!」と暴言を吐いて威嚇することも珍しくない。

 こうしたマナーの悪さは今に始まったことではないが、近年、ネットが普及したことで一般人にも知られることになった。特に、さよなら運転に集まる葬式鉄と呼ばれる鉄道ファンの評判はかなり悪い。ある鉄道関係者は、鉄道ファンの迷惑行為に警鐘を鳴らす。

「列車引退や廃線のさよなら運転は、二度と撮ることができないイベントです。だから鉄道ファンが力を入れて、殺気立ってしまう。これが一般利用客を恐れさせてしまう理由のひとつです」

 銚子電鉄の濡れせんべいブームや三陸鉄道のあまちゃんブームで観光客は増加した。しかし、それは一時的な現象だ。鉄道は定期的に乗る人がいてこそ存在価値がある。

「鉄道マニアの人たちに言いたいのは廃止になることが決まってから大挙して押しかけるのではなく、普段から定期的に利用してほしいということです。今回の東京駅に集まった1割の人が年1回乗りに来るだけでもだいぶ違います。そうした利用が地方鉄道の支援につながりますし、鉄道会社にとっても励みになります。利用客がいれば、鉄道会社は廃線にしないのです」(前出・鉄道関係者)

 ローカル線では定期的にイベント列車を運行したり、記念グッズを販売している。しかし、今回の限定Suicaのような人が大挙して暴動を起こすことはない。

 今回の暴動は東京駅の人気ぶりを示す一方で、ローカル線の不人気さを浮き彫りにしたのである。

(文/小川裕夫) 

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