ぺヤングのゴキブリ混入事件を「害虫防除博識館」で聞いてみた
ペヤングソース焼きそばにゴキブリが入っていて大問題になっていたが、実際、食品工場からゴキブリを完全に駆除することってできるものだろうか?
兵庫県西宮市にある『環境衛生・害虫防除博識館』へ行ってきた。
館内に入ると「全世界のゴキブリの標本や化石・生きたゴキブリを展示しております」
と書かれた看板が掲示してある。
い…生きたゴキブリ? 恐る恐る中に入ると、確かに水槽が置いてある。
「100匹以上のゴキブリが入っています」
と書いてあるので、さぞかしウジャウジャとゴキブリだらけになっているのだろうと思って覗いてみたが……一匹も見当たらない。
ええ? と思っていると、博識館の方が解説してくれた。
ゴキブリを完全に防ぐのは不可能
「ゴキブリは基本的に目につかない場所に隠れているんですよ。飼っていてもなかなか目にすることはありません。逆に飲食店でちょくちょくゴキブリを見るようなら……裏ではかなり酷いことになっていると思いますね」
ひ、ひい!! 近所にある、あの中華屋や、あの居酒屋は、裏ではゴキブリ天国になっているのか!! 行けなくなってしまう……。
「現在は薬の散布で劇的に数を減らすことができます。機械を設置して、閉店時間にゴキブリを処理するようにすれば、すぐにゴキブリが出ることはなくなると思います」
飲食店で、殺虫剤を撒く……というのがちょっと不安なんですけど。
「現在日本で使われている殺虫剤で、身体に悪影響があるものはほぼありません。もちろん原液を飲んだりすれば害でしょうけど、通常通り使うならば問題はありませんよ」
なるほど、そうやってゴキブリを減らせば、ペヤングの事故みたいなのはなくせるのだろうか?
「減らせるとはいえ、ゴキブリが入ってくるのを完全に防ぐのは、同じ地球に共存している以上不可能だと思います。製造過程で虫が入らないよう、工夫するしかないですね」
そうなのか……。ゴキブリのせいで病気が蔓延してしまうって事態になることはあるのだろうか?
「ゴキブリが汚い場所を通ると、ゴキブリの身体に菌などがついて、それが広がることがあります。ただゴキブリ自体は無菌です。ゴキブリが悪いというより、そもそも衛生管理がなっていない企業が良くないのだと思いますよ」
食品関係のお店は、とにかく衛生が第一ということですな。
環境衛生・害虫防除博識館には、様々な昆虫の標本や、動物のはく製などが展示されていて、見て回るだけで楽しい。
ゴキブリも日本のゴキブリだけでなく、世界のゴキブリが展示されている。
見ると、大きいゴキブリがのそりのそりとゆっくり動いている。サササッと素早く動くゴキブリのイメージとは、かけ離れている。
「マダガスカル大ゴキブリは、世界最長のゴキブリですが、動きは鈍いし、羽もなくて飛びません。飼いやすいので、ペットとして慕われてますね」
ペ……ペット? わざわざゴキブリを飼う人がいるのか…。
「こちらのヨロイモグラゴキブリは世界最重量のゴキブリですが、飼うのはとても難しいです。土が合わないとすぐに死んでしまうし、子供もなかなか育ちません。この施設でも何度も死なせてしまっています」
ゴキブリって殺そうと思ってもなかなか死なないイメージがあるけど、そんなセンシティブなゴキブリもいるのか……。
ゴキブリにも色々なタイプがいることがわかった。こうしてゴキブリと触れ合っていると、段々ゴキブリのことがかわいく思えて……いや、さすがにかわいくはない!!
食品を扱う企業の皆さんには、衛生管理に細心の注意をはらってくださいませ!!
(取材・文/村田らむ)