【世田谷一家殺害事件】真相究明から14年、遺族が訴える「悲嘆」 (2/2ページ)
「気がついたのは朝です。嫌な記憶でした。『これは関係ありますか?』と、関係ありそうなことは(現場検証などで)すべて警察に言っている」
入江さんのところに警察から情報は入ってこないという。これまでも報道を通じて知るだけだ。
「(週刊誌などが)様々な犯人説を書いてきた。警察に聞くと否定するが、公に否定する発言はしていない。警察は否定すべきことは否定してほしい。納得はいかない」
そんな中で、目撃者への懸賞金は1千万から2千万円に引き上げられ、国内最高額となった。
事件遺族らでつくる「宙(そら)の会」や「あすの会」などが中心となり、時効撤廃の運動を展開。2010年4月、凶悪事件の時効撤廃が実現した。入江さんは言う。
「逃げ得は許されないという声も大きかったのですが、時効の必要性の中で、<時間とともに被害者の悲しみの感情は薄れるもの>というものがあるが、遺族としては納得がいかなかった」
また、入江さんは、大切な人が亡くなったときに湧き出る「悲嘆」(グリーフ)に関する活動を行っている。遺族となったことで、何度も事件発覚のときの感情に引き戻される。「すべては終わってしまった。ゲームオーバーだ」と自殺を考えたこともある。しかし「生きることを愛する」ことへ再生することもできた。
「(世田谷一家殺人)事件で亡くなった人たちは、私よりもはるかに、生きることを愛していた。だから残された側として、生きることを愛していかないといけないんじゃないかと思った」
情報が変化し、有力な目撃情報がない中で、事件から14年が過ぎていく。
Written by 渋井哲也
Photo by wikipediaより