飲酒量アジア1位の韓国で撲滅できない飲酒運転に政府も本腰

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韓国人は男女ともお酒が大好き
韓国人は男女ともお酒が大好き

 韓国人の酒好きは広く知られている。WHO(世界保健機関)が発表した「お酒と健康」に関する報告書では、国民ひとりあたりの飲酒量で世界15位にランクイン。アジア圏では堂々の1位を記録した。 

 豪快に飲み、本音を語らいながら一日の悩みやストレスをさっぱりと忘れるーーそんな陽気で開放的な国民性を象徴する飲酒文化は、ポジティブに捉えられなくもない。ただ、当の韓国ではネガティブな一面がクローズアップされはじめている。それは飲酒によるトラブルの多発だ。なかでも飲酒運転による事故は、韓国社会の悩みの種となっている。

年間1万5000件のドライバーが飲酒運転で摘発

 韓国では年始早々から、連続して起こった飲酒運転による事故がメディアを賑わしている。

 1月1日の元旦、30代の男性が他人の車を盗んだうえに泥酔状態で運転。通行人を跳ね重傷を負わし、警察に逮捕された。また、1月14日には、韓国の有名サッカー選手であるアン・ジョンファン選手が、玉突き事故の被害者になった。幸運にもアン選手は大事にはいたらず、病院で検査を終え家路についたそうだが、後に衝突を起こした加害者が飲酒運転していたことが発覚している。

「2014年、韓国では交通事故による死亡者が36年ぶりに5000人を下回りました。警察が大掛かりなキャンペーン張り、いたるところで取り締まりを強化した成果だと思います。ただ、飲酒運転が止む気配はありません。年々、厳罰化が進んでいるのにもかかわらずです。飲酒文化のせいもあるのでしょう。飲酒運転の問題は根深く、簡単に解決しそうにありません」(韓国紙記者)

 ちなみに、韓国の2014年12月の飲酒運転摘発件数(飲酒運転による事故とは別統計)は1235件。単純計算すると、1年間で約1万5000件の飲酒運転が摘発されていることになる。

 そのような飲酒運転の実態を克服するためか、韓国では“スーパーウルトラ級”の罰則が検討されている。1月15日には与党・セヌリ党のパク・インス議員が道路交通法の改正案を発議した。同改正案では、飲酒運転で3回目以上摘発された者に対し、生涯にわたり運転を禁止する罰則が盛り込まれる予定だ。また摘発回数が3回までいたらずとも、運転免許取り消しの処分を受けた場合、再習得までの期間を3年から5年に延長することも議論されている。

警察官も飲酒運転。本当に撲滅できるのか

 言うまでもないが、これはらは事故を起こすこととは無関係。飲酒運転そのものに課される罰則だ。同法案ではさらに、現在最大100万円近い罰金を2倍以上に増額。加えて、最悪の場合には懲役刑を課す方針も検討されているそうだ。

 新車一台分の罰金刑に牢屋送り……。“お酒大好き韓国人”を代表する政治家が、飲酒運転撲滅に本腰を入れ始めたということか。ただ、一部には厳罰化を疑問視する声も挙がっている。

「昨年末の忘年会シーズンには警察官が飲酒運転で摘発され、国民の非難を浴びました。捕まらないだけで、似たような事例は多いと思います。飲酒運転を撲滅しようという公務員が、その体たらくなのです。厳罰化で飲酒運転が減るかどうかは疑問ですね。法律を守らそうとする側に法順守の意識が希薄ですから。重要なのは、厳罰化よりリーダーシップじゃないでしょうか」(韓国弁護士事務所関係者)

 さらに厳罰化が進むことで、韓国の“悪い”飲酒文化に何かしらの変化は訪れるのだろうか。いずれにせよ、今年は飲酒運転による不幸な事故が激減することを祈るばかりだ。

(取材・文/中川武司 Photo by Graham Hills via Flickr)

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