共産党が「政党助成金廃止法案」提出で国会議員は大慌て!?

デイリーニュースオンライン

日本共産党公式HPより
日本共産党公式HPより

 昨年の衆院選で議席を21に増やした日本共産党は、衆議院における議案提出権を獲得した。その共産党が最初に提出した政党助成金廃止法案が永田町界隈で話題になっている。

 現在、政党助成金は総額で約320億円が各政党に配布されている。政党助成金は衆参国会議員が5人以上在籍するか、もしくは得票率2%以上を満たしている政党に分配される。これらは国民の税金から捻出されていて、国民一人あたり年250円を負担している計算になる。

 共産党は一貫して政党助成金に反対し、受け取りを拒否してきた。先般の衆院選でも共産党は「消費税を上げて国民負担を増やすなら、まず政党助成金を廃止するべきだ」と主張していた。国の税金で政党の活動費が賄われている実態を国営政党と断じている。共産党が廃止を目指す政党助成金だがほかの政党の反応はよくない。

「自民党が政党助成金の廃止を考えられないのは当然ですが、民主党も主たる収入は政党助成金です。政党助成金を廃止するなんて、口が裂けても言えません」(永田町関係者)

 政党助成金はリクルート事件や佐川急便事件など、政治家の贈収賄事件が多発したことから制定された。そこには企業・団体献金を制限する替わりに、国が政党の活動資金を負担することでクリーンな政治を実現するという目的があった。企業から多額の献金を受け取っていれば、政治家は自然と大企業に便宜を図るようになる。

 そうした企業への利益誘導を排除する政党助成金の趣旨は理解できなくもない。国民目線の政治が達成されるなら、国民一人あたり250円は決して高くない。だが、現実は大きく異なる。現在でも企業・団体献金はなくなっていないのだ。

政党助成金の使い道

 それでは、肝心の政党助成金は有益に使われているのだろうか?政党助成金は、まず各政党本部に分配される。その後、政党本部が国会議員もしくは次の選挙で公認されることが決まっている候補予定者や落選したものの再起を期す前議員などに分配している。

 各政党は政治家に選挙資金として配布し、受け取った政治家には自分が代表を務める党支部や資金管理団体に寄付している者もいる。余った政党助成金は返還しなければならないからだが、寄付という行為で使ってしまえば返還しなくて済むからである。

 ちなみに、政党助成金の使途は、総務省のHPに公表されているので誰でも確認することは可能だが、党支部や資金管理団体は政党助成金以外にも企業・団体献金や個人献金などを受けていて、資料を見ても専門家ではない一般有権者には実態を把握することは難しい。複雑な金の流れにすることで、政党助成金の使途は不明瞭になる。こうした仕組みは、言い換えれば政党助成金のマネーロンダリングである。

 小渕優子経済産業大臣(当時)が後援会関係者を招待した観劇会の費用になっていたり、荒井聡国家戦略担当大臣(当時)がキャミソールを購入する費用にしていた事実が発覚するなど、政治家の不正支出問題は後を絶たないが不正使用の温床にもなっている。

 ほかにも旅行を視察という名目にしていたり、新聞・雑誌・文房具・事務用品の購入費、事務所の家賃や光熱水費として計上する、巧妙な手口を使っていることも珍しくない。

 記憶に新しいのは、松岡利勝農林水産大臣(当時)が議員会館の光熱水費を計上していた件だろう。国会で追及された松岡大臣は「ナントカ還元水」と答弁したが、議員会館は家賃が不要どころか、光熱水費も電話代・インターネットといった通信費もかからない。松岡大臣は架空の経費を計上していたことになる。

 今回、共産党が提出した政党助成金を廃止する法案は、反対多数で否決されることは想像に難くない。しかし、ほかの政党が何も言わなかった既得権益に切り込み、問題提起したことは大きい。

 国会議員には政党ごとに支払われる政党助成金のほか、各会派に支払われる立法事務費もある。こちらは議員一人あたり約65万円が毎月支払われている。

 政治家には多額の税金が投入されている。だからこそ、国民に負担を押し付けるだけでなく、政治家には身を切る改革をきちんと実践してもらいたい。

(文/小川裕夫)

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