【プロ野球】広島カープ・黒田復帰で専属捕手問題が浮上

デイリーニュースオンライン

Photo by shiori.k via flickr
Photo by shiori.k via flickr

 各球団が一斉にキャンプインし、いよいよ始まった2015年シーズン。なかでもやはり注目は、黒田博樹の復帰で優勝の機運が高まる広島カープだ。(黒田投手は2月15日から合流予定)しかし、メジャー級の投手が凱旋復帰した一方で、新たな問題が浮上している。「黒田の球を受けるキャッチャーは誰なのか」である。

 現役メジャーのローテーションピッチャーでもあった黒田にストレスなく投げさせ、勝ち星を積み重ねてもらう事こそ優勝に近づく大きなポイント。そこで、黒田専属捕手の可能性を探ってみた。

 現在、カープの正捕手候補は、14年目の石原慶幸(35)、9年目の會澤翼(26)の2人が有力視されている。それに続くのが、野手最年長18年目の倉義和(39)、2003年のドラフト1位で、12年目の白濱裕太(29)となっている。2014年シーズン、カープはベンチ入り捕手を2人体制で戦ってきた。外野手で、捕手も可能な守備、走塁のスペシャリスト中東直己がベンチに控えているからである。今シーズンもこの2人体制で行くのであれば、順当に石原か、會澤のいずれかが黒田の球を受けることになるはず。

 しかし、ここで注目されるのが、倉の存在だ。倉は、黒田のメジャー移籍前の2007年まで黒田の専属捕手を勤めあげたことから、現在の地位を築いていったといっても過言ではない。2005年、倉はキャンプ中に新しいミットを慣らしていたことを黒田に一喝された経緯がある。その後、倉は必死の練習で黒田の信頼を取り戻し、以降黒田と抜群の相性を見せ専属捕手の座を勝ち取っているのだ。黒田としても、倉が受けてくれることによる安心感は間違いなくあるだろう。近年出場機会が減少していた倉も、黒田の復帰に燃えている。

「黒田さんが帰ってくるまで現役でやるのが目標だった。がんばりたい」(倉)

 また、倉は投手の良さを引き出すことに長けている捕手でもある。黒田渡米後の2008年は、左腕高橋建の専属捕手となり勝利に貢献。2012年には、前田健太のノーヒットノーランをアシストするなど、随所にいぶし銀の活躍を見せ、投手陣からの信頼も厚い。昨シーズンも先発マスクは17試合と少ないが、捕手別の防御率は3.60と安定している。

 だが、今年で40歳を迎えるだけに衰えは隠せない。2005年に.440でリーグ1位盗塁阻止率も2011年以降.300を超えていない。本塁打も、2007年の7本以降下降し、昨シーズンは打率.093本塁打1打点2と、かなり苦しい状況であることは否めない。

カープの次世代捕手・會澤翼

 倉以外では、カープ次世代の捕手としての期待がかかる會澤。昨シーズンは、65試合の出場ながら、打率.307本塁打10打点30をあげブレイク。カープ史上4人目の捕手2桁本塁打を放つなど、待望の「打てる」捕手誕生にファンは歓喜した。

會澤は元々、打者としての評価は高く、背筋275キロを誇るパワーから放つ飛距離はチームでも屈指で、逆方向にも長打を打てることを持ち味にしている。

 また、来年で27歳という若さも魅力的だ。ここで正捕手の座を勝ち取れば向こう5年は安泰と考えられる。

 不安要素としては、送球難。肩は2塁までの送球が1.8秒(平均2秒)と高水準だが、時として暴投を見せてしまう。また、キャッチング、ブロックに関しても同じ捕手の石原と比べ劣ると見られていることから、打力より守備を優先となった場合、苦しい状況になることも予想される。ただ、盗塁阻止率は向上しつつあり、先発出場した試合も23勝22敗と勝ち越し。勝てる捕手であることも証明できた。捕手は経験がものを言うポジション。黒田とのバッテリーで経験を積みさらなる飛躍にも期待したい。

暗黒期を支えた石原慶幸の復活はあるか

 最後は、昨期までの正捕手、石原慶幸だ。2002年入団、今年で14年目を迎える石原、その特徴はなんと言っても守備力の高さだろう。現ロッテ監督で名捕手の誉れ高い伊東勤監督が、12球団一のキャッチング技術」と、評価するほど。

 石原はカープの捕手として、歴代でも屈指の数字を残している。現在、出場試合、安打、打点は歴代2位。本塁打に至ってはすでに1位だ。この先コンスタントに出場できれば、カープ捕手史上初の1000本も現実的な数字となっている。

 そんな石原ではあるが、年齢による衰えは否めない。2013年に.333を記録した盗塁阻止率が、昨シーズンは.200まで低下。捕逸も2013年の2に対し出場試合が減った昨シーズンは倍の4となっている。

 また、石原は黒田との相性が良くないというデータもある。2007年は、2試合バッテリーを組み、0勝1敗。9回2/3を12失点で、防御率10.24と散々なものであった。この状況に加え、若い會澤の台頭もあり石原の置かれている立場は非常に厳しいものがある。

 しかし、昨年の石原は怪我に泣かされた側面もある。肩、首の負傷の影響で攻守共に精彩を欠いたとも見れる。打撃では會澤にかなわなくとも、守備と経験ではものが違う。2007年では相性が悪かった黒田とも、7年の間に積んだ経験で変わる可能性もまた非常に高い。となれば、当然、石原にもチャンスはある。しかも、暗黒時代に叩かれながらもホームを守ってきた選手の復活を願うファンも少なくないのだ。

 これら有力候補に加え、春期キャンプ一軍メンバーには、白濱と若手の磯村嘉孝が選ばれている。彼らもチャンスは0ではない。

 現在は、本命會澤、対抗石原、大穴倉と言った見方が妥当と思われるが、何が起こるか解らないのがプロの世界。黒田の動向に目が行きがちであるが、世界基準の投手の球を受ける事ができるのは誰なのか。こちらの方も目が離せない。

(取材・文/井上智博)

「【プロ野球】広島カープ・黒田復帰で専属捕手問題が浮上」のページです。デイリーニュースオンラインは、広島カーププロ野球スポーツスポーツなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧