ここは“理想の村”なのか!? スペイン南部に存在する “共産主義者のユートピア” (1/2ページ)

新刊JP

ここは“理想の村”なのか!? スペイン南部に存在する “共産主義者のユートピア”
ここは“理想の村”なのか!? スペイン南部に存在する “共産主義者のユートピア”

 総務省統計局のデータによれば、日本の失業率は2014年12月現在で3.4%となっているが、海外に目を向けてみると、先進国でも高い失業率が問題になっている国は多い。例えば、イタリアは12.2%、ギリシャは27.3%、そしてスペインは26.1%だ(いずれも2013年のデータ)。

 2012年8月、スペイン南部に位置するアンダルシア州の小さな村・マリナレダの名が世界中に轟いた。村長のサンチェス・ゴルディーヨがスペイン国防省の所有地である農場を占拠したのだ。200人以上の労働者が18日間にわたって野宿し、メディアの注目を浴びた。さらにゴルディーヨとその仲間たちは2軒のスーパーマーケット襲撃を実行する。そして、10台前後のショッピングカートに食料を詰め込み、支払いをせず店をあとにした。
 これらの食料は、ホームレスの人々が不法占拠しているセビリアの集合住宅とカディスの市民会館に寄付された。

 このゴルディーヨの行動は世界に衝撃を与えた。どうしてこのようなことを?
 それを説明するには、セビリアから東に100キロに位置する、人口2700人ほどのマリナレダという村の歴史と因縁について語らなければいけない。マリナレダ――その村を「共産主義者のユートピア」と呼ぶ者もいれば、「単なる共産主義のテーマパーク」と揶揄する者もいる。村に警察はいない、家賃は月15ユーロ、最低賃金の2倍以上の給料がもらえる。そんな村。
 『理想の村マリナレダ』(ダン・ハンコックス/著、プレシ南日子/翻訳、太田出版/刊)は、ジャーナリストの著者によるマリナレダの闘争の歴史を辿るルポルタージュである。

 1975年、独裁者フランシスコ・フランコが死去し、スペインは民主化の道を辿ることになる。マリナレダはそのときからハンガーストライキ(*1)を繰り返す。土地と自由を手に入れるための戦いをはじめる。そして、1991年、スペイン政府はインファンタド公爵の土地1200ヘクタールをマリナレダに与えたのだ。

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