研修に「アメトーーク!」 講師全員が“蛍原”になる風変わりな塾 (3/3ページ)
その心理的なハードルはコミュニケーションによってクリアできると思っていて、「勉強は嫌だけど塾は好き」と思ってもらったり、先生に会いに来てもらうくらいの感覚からスタートして、勉強の本質に近づいていくように促せればいいのかなと。年齢が近いのも武器にはなるけれど、ベテランの先生は引き出しが多いので、若い先生にはない良さがあります。
――大人ですから、子どもを叱れる部分もたくさんありますよね。
喜多野:そういう部分もありますね。「勉強したくない気持ちもよく分かるよ」というところから入っていく、と。だから優秀な人、勉強が大好きな人はあまり採用したくないんです。
――それは意外です。
喜多野:勉強が嫌だと言っている子どもの気持ちが分からないと、歩み寄りができないんです。「なんでこんなの分からないの?」みたいなことになってしまう。そういった感情は生徒には敏感に伝わってしまうので、よけいに亀裂が入るんですよ。
ただ、勉強のことはできるけれど勉強以外はからっきしダメという人は大丈夫です。
――それはなぜですか?
喜多野:逆に勉強以外のことを子どもから教えてもらうんです。「最近、『妖怪ウォッチ』って流行ってるけどどういうものなの?」と子どもに聞いて、「え!?先生『妖怪ウォッチ』も知らないの?」みたいな。そうなると、生徒が先生になれる。自分の好きなものや得意なものを話すのは楽しいじゃないですか。
先生と生徒の関係はどうしても一方通行になりがちです。だから、私たちはコミュニケーションを取るために生徒の得意なことを聞いて、生徒に話してもらうようにするんです。そこで「この2ページを解いたら話をしようか」と言うと、2ページ分問題を解くことがゴールではなく通過点になるので、自分で問題を解きはじめる。実はうちの会社の研修材料にテレビ番組の「アメトーーク!」を使っているんですよ。
――それはすごくユニークですね! でもどうして「アメトーーク!」なんですか?
喜多野:雨上がり決死隊の蛍原さんが芸人さんに対して「なになに?」「それ、どういうこと?」と何でも聞くんですね。そうすると、ひな壇の芸人さんたちが「蛍原さん、知らないですか!?」って答える。その蛍原ポジションを、講師たちに研修で学んでもらうんです。
信頼関係を築く上で、相手の話を聞くことが絶対に必要です。そこで相手の得意分野を話してもらう。得意なものや好きなものがない子はいないですから。そこをちゃんと引き出して教えてもらうという関係作りは徹底しています。
――つまり、勉強においては先生の方が上だけど、それ以外は上下関係なく。
喜多野:逆に生徒が先生になることもありますね(笑)。
(後編に続く)