【韓国】月収1万円で激務にセクハラも…漫画産業のブラックすぎる闇

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 最近、日本のコミケに遊びに行くと、韓国人の若者の姿が目立つ。

 彼らは漫画を購入しにきたファンではなく、自分たちの漫画や同人作品を売りにきている漫画家の卵たちだ。作品の腕前はなかなかのもの。素人目には、日本の漫画と比べて遜色がない。ふと、気になったので、そのうちのひとりの韓国人女性に、日本のコミケで作品を売る経緯を聞いてみたことがあった。すると、ため息をつきながら、ふいに次のように話していた。

「私は日本の漫画に憧れていますし、自分も漫画家として成功したい。ただ、韓国では漫画を描く環境が悪いんです……」

 これまで、韓国で人気漫画と言えば、日本のものが大半を占めていた。しかし、最近では国内作家による作品も徐々に増えてきた。また「ウェブトゥーン」という、ネット上で公開される漫画の流行も追い風となり、国産漫画の隆勢期を迎えようとしている。

 韓国の漫画界は花々しく芽が開いたように見えるが、一方で悪いニュースも増え始めている。なかでも特に増えているのが、漫画界のブラックな労働環境の実情についてだ。

 ここ数年、韓国では漫画家を目指す若者たちの、搾取されっぷりを象徴する事件がいくつか起きている。もっとも衝撃的だったのは、『サンケンロック』(少年画報社)などの代表作を持ち、日本の『モーニング』や、『ヤングキング』で連載を持つパク・ムジク氏(日本のペンネームはBoichi)と、アシスタントたちの間で起きたトラブルだ。

 パク氏のアシスタントたちは、パク氏が約束していた条件や扱いを一方的に撤回し、安い賃金と怒号のなかで仕事していたとネット上で告発した。パク氏は「アシスタントの技能が足りなかった」と反論を試みたものの、最終的には謝罪。韓国を代表する漫画家のスキャンダルだけに、世間を大きく落胆させた。

強制わいせつで起訴された漫画家も

 そのパク氏よりひどかったのが、漫画家チョン・チョル氏のブラックぶりだ。チョン氏は、女性アシスタントに月150枚くらいの漫画を書かせていたが、そのギャラは月額1万円にも満たなかったという。また、チョン氏は、そのアシスタントにセクハラや、ストーカーを繰り返すという最悪な行動に出ていた。現在、強制わいせつの罪で起訴されたチョン氏は、1審で懲役8カ月の有罪判決を受け、判決を不服とし控訴している。

 実名は明かせないが、ブラックな労働環境に絶望しているアシスタントたちはかなり多い。「あれは仕事ではない、ただの奉仕」「韓国でアシスタントをしていても飢えて死ぬだけ」「ぶっちゃけ、(漫画家)先生を憎んでいる」などの意見もあった。こうしてみると、冒頭の女性の証言が、やけにリアリティーを感じさせる。

 そのような事態を受けて、韓国漫画家協会では公正な標準雇用契約書をつくる動きも出てきているという。ただし、この議論は2000年初頭からすでに行われているという背景があり、なかなかブラックな環境が改善されないというのが実情のようだ。

 そもそも、業界隆勢の兆しが見えるとはいえ、韓国では漫画産業の地位は低い。例えば、イ・チュンホ氏という、そこそこ名の売れたベテラン漫画家は、自身の作品がTVドラマに盗作されたと主張したが、世間には受け入れられず、むしろ批判の的になっている。イ氏はよほど無念だったのか、「漫画家が正当な報酬をもらえない社会的な構造がある」と、メディアに告白している。アシスタントに過酷な労働を強いる漫画家自身もまた、社会にブラックな扱いを受けているということになるのだろうか。少しやりきれない話だが、漫画家とアシスタントがともに団結し、韓国漫画業界を盛り上げてほしいものである。

(取材・文/中川武司)

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