世界一過酷な花見「4時間以内に桜を咲かせろ」過酷な花見にチャレンジしてみた

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8人1組のチームとなり、1000ピースのパズルに挑む。
8人1組のチームとなり、1000ピースのパズルに挑む。

屋内で行う花見革命は、本当に過酷過ぎた。

 うららかな日差し、広がる晴天。

 サクラの開花宣言から5日目。この上なく花見日和な3月28日(土)、「世界一過酷な花見〜4時間以内に桜を咲かせろ〜」が開催された。

「1000ピースの桜のパズルを4時間以内に完成させろ!!!!」という、屋内にてクラフトビールを飲みながら、頭も使うというこの企画。8人1組のチームとなり、1000ピースのパズルに挑む。4時間以内に完成しなかった場合は、開催者が壊して回るという。

[世界一過酷な花見だと?」

 何を隠そう、筆者はパズルが大好物だ。

 自宅にある1000ピースのパズルは、何度も作っているので慣れてしまい、2時間半ほどで完成してしまうほどだ。しかもこの上ない酒好きなので、たいてい何かしら酒を飲みながら作っている。

 それを8人やるのなら、もう早々に完成させしまい、あとはただクラフトビールを飲んだくれてしまえばいいのではないか? そんな淡い妄想を抱えて、いそいそと会場に乗り込んだ。

 それにしても、本当にいい天気だ。

 開催地は、東京都渋谷区にある「co-ba(コーバ)」。

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 会員制のシェアードワークプレイスで、壁側にずらりと並ぶ本棚には書籍や雑誌も充実している。一見、小さな図書館のよう。ときには、こういったイベントにも使用されているそうだ。

 受付を済ませ、チームごとにテーブルに分かれる。「パズル取りに来てくださーい」の声に、1番奥のテーブルに陣取った我々のチームは、少々反応が遅れてしまった。残っていたのは絵の8割がサクラのパズル。

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かなりレベルが高そうだが大丈夫か……?

 そしてお待ちかねのクラフトビール!

 この日、用意されたのは以下の4種類。

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  1. 「セゾンさゆり」/ Baird Brewing(静岡) / 6.0%
  2. 「八郷(やごう 限定醸造)」/ 大山Gビール(鳥取) / 酒米エール / 7.0%
  3. 「ポストモダンIPA(18周年記念醸造ビール)」/ 反射炉ビヤ(静岡) / ベルジャンセゾンIPA / 6.5%
  4. 「Evil Cousin Imperial IPA」/ Heretic(USA) / 8.0%

 クラフトビール専門のお店でもほとんどお目にかかれない限定酒造のものや、季節限定のものばかり。てっきり瓶ビールで用意されているのかと思いきや、なんとサーバーから生ビールで楽しめるという、うれしいサプライズ!!

 今回のぶっ飛んだイベントの主催者であり、東京クラフトビールマニア代表でもある、ねるねる氏に今回のラインナップの趣旨を聞いてみた。

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東京クラフトビールマニア・ねるねる氏

「やっぱり、アルコール度数が高い方がいいかと思って~。そしたらめっちゃ高くなっちゃったんですよ~」とチャーミングな笑顔で答えてくれた。東京クラフトビールマニアでは、2014年には50回ものイベントを開催したそう。

──今回は、なぜパズルとビールなのか?

「ビール飲みながら、1番やりたくないことって何だろうなぁって考えて~。最初に出てきたのは、計算問題だったんですよ。でも、さすがに計算は嫌でしょ~? 次に出てきたのが、パズルだったんですよね~」

 確かに計算問題は嫌だ……。

 何人かに参加理由を聞いてみたところ、「うまいクラフトビールが飲みたくて」という人が、割合的には多いよう。中には「お酒はあんまり飲めないんですけど、パズルが大好きなんです」という参加者も。

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 とりあえず、1杯目。

 静岡のブルワリー「Baird Brewing」の、季節限定ベアードビール「セゾンさゆり」だ。地元レモン(もしくは青島みかん)のピールと手作り果汁が入っているため、スパイシーながらもほのかに爽やかな味わい。う、うまい…!

 4000円(早割値段)で4時間飲み放題、すごく安くないか!? テンションがぐぐっと高まってくる。

 そして、いざパズルへ。まずはチームで乾杯をして、色ごとや端のピースを仕分けしながら自己紹介。

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 実は「見ず知らずの人と4時間も同じテーブルでパズルを作るなんて、大丈夫だろうか?」というのが、最大の懸念だった。「パズルを作りながらお酒が飲みたいだなんて、絶対変わってる人たちなんだろうな……」と、完全に自分を棚に上げ心配していた。

 しかし意外と一人で参加しているメンバーも多く、すぐにどのテーブルも打ち解けていた。

 クラフトビール好きに、嫌な人はいないのだ。きっと。

 ピースの仕分けが終わり、「枠担当」、「空担当」、「建物担当」、「(誰も積極的に手をあげない)サクラ担当」などに、分かれて取り組んでいく。

 筆者は「空担当」。ついついパズルに熱中しそうなところに「ビールも飲んでくださいね~」と、各テーブルを回っていくねるねる氏。そうだ、飲まねば!

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 2杯目、鳥取は大山Gビールの「八郷(やごう 限定醸造)」、2015年度の出来立て新酒ビールだ。芳醇な香りながら、思いのほかソフトな口当たりで、アルコール度数7%とは思えない飲みやすさ。これが酒米エールの味わいなのか~。揚げたての天ぷらに合いそう。

 ちなみに、この日は食べ物の持ち込み自由。筆者は来る途中に、チャンジャやオイキムチなど、あえて箸を使い、手を汚さないつまみを購入してきた。

 中には、こんなお弁当を用意してきた人も!

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 オトナの酒飲みたちは、水を持参していた人も多数。二日酔い防止には、お酒と同量の水を摂取するの今や酒飲みの常識だろう。しかし酔っ払ってくるし、パズルに集中するしで、水を飲むのを忘れるという問題もつきまとう。

約1時間経過。パズルが進まない……。

 思いのほかピースがはまらない。特にサクラ部分を担当する人はなかなかパズルが進まず、持ち場をシャッフルすることに。密かに目を付けていた「枠担当」に、滑り込んだ。

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「はまっていく~!!」の快感が、やっと味わえた。 

 すかさず、3杯目。静岡は伊豆のクラフトビールメーカー、反射炉ビヤの「ポストモダンIPA(18周年記念醸造ビール)」。IPAといえば、通常のビールよりたっぷり使用されたホップのガツンとした飲みごたえが特徴だ。そのIPAの特徴を持ちつつも、反射炉ビヤならではの無ろ過・非加熱で酵母が生きている製法ゆえか、その味わいはどこか優しくもある。あー、うまいー……。

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 そのまま4杯目。アルコール度数8.0%のアメリカンIPA「Evil Cousin Imperial IPA」(Heretic)。IPAらしいガツンとした飲みごたえに、何とも心地よい苦み。

 ビールには、その苦みを表す国際苦味単位IBUというものがある。アサヒ「スーパードライ」がIBU16、キリン「一番搾り」はIBU21。IPA好きには、おなじみのヤッホーブルーイング「インドの青鬼」でIBU56だ。

 そして“悪魔のイトコ”と名付けられたこのIPA、なんとIBU100。強烈なアフターキックが癖になる!

 そうこうしているうちに、はや3時間が経過。なんとか、青空部分や、建物部分など、サクラ以外の部分が完成していくものの、メインのサクラ部分が一向に進まない。

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 他のチームも、似たり寄ったり……。とりあえず“外枠”を作るのはどこも同じだ。

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 だんだん、完成をあきらめて飲みと歓談に走るメンバーも目立ち始めてきた。サクラ以外の部分を完成させた時点で、筆者の集中力も完全に切れた。パズルには向かうものの「あー、ビールおいちい(ハート)」状態だ。

参加者が室内で黙々とパズルをする中、主催者はお散歩へ。

 パズルはライター・たままいに任せて、ここからは篠崎が「ねる散歩」をリポートする。 

 こんなに天気が良くて、お花見日和だというのに、参加者は外も見えない部屋で口数も少なく作業とクラフトビールに没頭。

 Facebookのイベントページで自分のことを『飲みながら頭を使わせる畜生イベンター。イベント中暇なので天気がよければ花見にでも行こうかと模索中。』と紹介していたねるねる氏。本当にお花見に出かけることにしたようだ。

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ビール片手にぶらぶら
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電車を眺めたり、ビールを味わったり、自由すぎるだろ……。
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なぜか落ちていたサングラス(レンズ部分のみ)をかける。

 ふらっと仲間のお店を訪ね、屋上でくつろぐねるねる氏。自由すぎー!! 年間120件ほどイベントを取材しているが、こんなに自由なイベンターは見たことがない(褒めてる)。 もしやこれも彼なりのイベントの進行方法か……と思ったが、本当に自由に遊んでいるだけかもしれない。

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右はMiyaさん(BrokenSport / Brighton Studio Daikanyama by Jazzy Sport)
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参加者はパズルしか見ていないのに、ホンモノの桜を満喫するねるねる氏。
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スタイリッシュです

 かなりフリーダムなねるねる氏だが、経済番組や朝の情報番組からも取材が来ているという、今注目の人でもある。 数々の面白いぶっ飛んだ企画は、こうした柔軟な発想と行動から来ているのだろう。 

完成しなかったパズルは容赦なく破壊!!

 結局イベント時間が45分延長されたものの、完成できたチームはゼロ。ねるねる氏が、嬉々としてパズルを壊していく。

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桜(のパズル)が……散ってゆく……

 何の迷いもなくパズルを壊していくねるねる氏。

 イベント終了後、おいしいビールをたらふく飲めた満足感と、パズルが完成しなかった敗北感を抱え、ほろよいのまま本物のサクラを見に連れ立った参加者たちが多かったのは言うまでもない。

 花見は、リアルが一番だ!

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(文/たままい 写真/篠崎夏美)

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