【韓国】マクドナルドの「ブラック企業」ぶり訴えアルバイターがデモ

デイリーニュースオンライン

ソウルの学生街・新村でのデモの様子(韓国・アルバイト労働組合のHPより)
ソウルの学生街・新村でのデモの様子(韓国・アルバイト労働組合のHPより)

 韓国でも非正規労働者の雇用問題が深刻化しているようだ。

 一般市民による投稿で成り立っている韓国国内のネットニュース「オーマイニュース」によると、去る2月7日、アルバイト労働者組合の手によりソウル特別市西大門区(ソデムング)新村(シンチョン)のマクドナルド新村店で奇襲デモ、店舗占領が行われた。集団はその後、地下鉄新村駅店や延世大(ヨンセデ)店にも乗り込み、「バイトの時給を引き上げろ」「バイトだって労働者だ!」などと書かれたプラカードを掲げデモ行進を行ったとのことである。

 その襲撃事件に参加した韓国マクドナルドのアルバイト労働者によって明らかにされた同企業の労働環境は驚くべきものだった。

あまりにも一方的すぎる労働条件に怒り

 まず、労働契約書は締結しない。実際にアルバイトをした人たちにアンケートを取ってみたところ、約半数の人がそう答えたという。

 時給は5,580ウォン(=約558円/韓国の法令で定められた最低賃金)。お客さんが少ないと「もう帰っていい」といって強制的に労働時間を短縮し、アルバイト料も本来の契約時間ではなく、出勤から帰した時間までしか支払わない。

 また、出勤時間を遅らせるよう指示して勤務時間を少なくさせたり、「今日はお客さんがいないから店に来なくていい」と言って、出勤日にもかかわらず会社が一方的に休むことを命じたりすることもあったという。

 その他、「勤続5年でも時給は100ウォン(=約10円)程度しか昇給させない」「アルバイト料を勝手に1割カットする」「管理職以外は全員非正規雇用のアルバイト」「本人の希望とは一切関係なく雇用期間は1年まで」など、一方的な労働条件を強いられる状況だったようだ。

 こうした韓国マクドナルドのブラックぶりに腹を立てたアルバイト労働者が組合に加盟して団体交渉に臨もうとしたところ、当該アルバイターをマクドナルド側が一方的に解雇処分とした。こうしたことが引き金となって店舗占領事件に至ったという。

 これに対し、マクドナルド側は「法令を順守し、賃金は一般的な労働賃金を支払っている」などとし、これらアルバイト労働者の抗議内容を事実として認めず、「明らかに威力業務妨害だ」として抗議・対決の姿勢を強めている。

人手不足でブラック企業を見逃す韓国当局

 韓国にも雇用労働部という省庁があり、日本の労働基準監督官に相当するポストもあるのだが、人員が非常に少なく、1人で1000か所もの事業所を管理しなくてはならず目が充分に行きとどかない現状があるという。

 そうしたところから、労働争議、団体交渉といった部分では労働組合が先頭に立って労働実態調査を行っているのが現状であり、ブラック企業摘発が遅々として進んでいないものとみられる。

実は日本より高いビックマックのお値段

 それだけ時給が安ければビッグマックは日本より安いだろうと思いきや、違っていた。円安の影響もあるだろうが、日韓のビッグマックの値段は日本が360円なのに対し、韓国は4300ウォン(=約425円)。日本よりはるかに安い時給でアルバイト店員を酷使することなく、日本並みの時給を支払えば、韓国マクドナルドは「搾取をしていない」と主張できるのだろうが……。

 この騒動に対し、韓国のネット市民はこんな反応をしている。

「韓国のビッグマックは高すぎだ」
「いっそ日本に移民すれば楽に暮らせるのではないか!?」
「1人あたりの所得は日本の方が高いのに物価はほぼ同じか、韓国のほうが高いんだな」

 いずれにせよ、韓国でも日本と同様に、非正規労働者やブラック企業の問題が大きくなりつつあるようだ。

(取材・文/山田俊英)

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