バイオマスエネルギー製造に新技術!水素社会のミライに兆し (1/2ページ)
燃料電池自動車が次世代の乗り物であるかのような報道も少なくないが、じっさいのところはけっこうきわどい。というのは、現在のところ水素燃料の製造はおもに天然ガスから分離する方法であり、再生可能エネルギーではないし、自動車そのものからは温室効果ガスを排出しないものの、水素燃料の製造工程で多量の温室効果ガスを排出する。
水を電気分解して水素を発生させる方法もあるが、そうすると電力を直接電気自動車に使用するより効率が悪い。
けっきょくのところ、水素はエネルギーの保存性、運搬性で優れているため、余剰電力の利用という面では優れているものの、製造工程においてはあまりアドバンテージはない。しかし、低コストかつサステイナブルな方法で水素燃料が製造できるとしたら話は別だ。そんな研究をヴァージニア工科大学のPercival Zhang教授らの研究チームが発表した。
■ トウモロコシの廃棄物を利用する
使用するのはトウモロコシの茎や穂軸、皮といった廃棄物だ。つまりバイオマスである。日本ではそれほどでもないかもしれないが、アメリカでは大量に出るようだ。
この研究は、もっともシンプルな五炭糖のひとつであるキシロースから水素を作り出す理論にもとづいている。そしてふたつの点で新しいという。
ひとつは、これまでの水素燃料生成が、おもに加工された糖分を使っていたのに対し、この方法では茎や皮といった、そのままのバイオ廃棄物を使うことができる点だ。これによって、原料の調達コストを下げることができ、農産物の加工工場のすぐ近くに、容易に水素燃料製造工場を設置できるようになる。
もうひとつの新しい点は、酵素がバイオマスを分解する工程において、複雑な数式のみならず遺伝学的なアルゴリズムを活用することで、グルコースとキシロースを同時に分解することができるようにしたことだ。従来のバイオ技術では、通常このふたつの反応は順番にしか行うことができなかった。それを同時に反応させることができるようにしたことで、時間とコストの削減が可能になる。