【壮絶すぎる人生】荻原流行&まゆ美夫妻の共著『Wうつ』読了|ほぼ週刊吉田豪 (3/3ページ)

東京ブレイキングニュース

「まゆ美さんとつき合い始めた21歳の頃、僕は大田区で家族と暮らしていた。(略)夜のアルバイトを終えて家に帰ると、誰もいない。それどころか家具類もほとんどなくなっている。なんだこれ!? 朝、家を出て行くときは普段どおりだったはずだ。僕だけに知らせず、うちの家族は夜逃げしたのか......? 家族の誰がどうやって決めたのか、今も僕には謎だが、萩原家はこの日をもって一家離散となったのだ。間の悪いことに、僕はこの日、風邪で40度近い高熱を出していた。でも、家には僕の布団さえ残っていなかった。とっさに思い浮かべたのは、まゆ美さんの顔だ」

 こうして2人は一緒に住むことになり、結婚へと至った、と。

 そんな感じでトラブルこそ多かったけど、お互い鬱になったことで「ほんとうの愛」を手に入れた......という結論になったかと思えば、こんな話が飛び出すわけですよ。

「20代のときにも『死にたい』と思ったことは何度かあった。舞台でずっとやっていた役を他の役者と交代させられ、しかも彼に『芝居をつけてやってくれ』と演出家に言われたのだ。僕はとにかくショックだった。『死んでやる!』とマンションの屋上に上がり、金網をまたいで手を離した。けれど次の瞬間、とっさに金網につかまっていた。やはり20代のとき、車ごと壁にぶつかって自殺しようとしたこともある。このときはウイスキーを1本空け、かなり酔った状態で車に乗った。何度も『今だ!』と思いながらも、いざ壁が近づくと、怖くなってハンドルを大きく切っていた」

 車ごと壁にぶつかって自殺......!「うつ病になってからは、生きていることそのものが辛くて、ときどき『死にたい』と考える。でも、実際に死のうとしたことは、一度もない」とのことだったんですけど、最後にそのスイッチが入っちゃったのかどうかは、いまとなっては知る由もないです......。

Written by 吉田豪

Photo by Wうつ

「【壮絶すぎる人生】荻原流行&まゆ美夫妻の共著『Wうつ』読了|ほぼ週刊吉田豪」のページです。デイリーニュースオンラインは、荻原流行うつ吉田豪エンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る