田舎を舞台に起こる悲劇・・・クローズドサークル系マンガ3作 (2/2ページ)
ハラハラドキドキさせられる展開は、まさにクローズドサークルならではの魅力にあふれています。
赤目村の謎に隠された真実は、ぜひその目で確かめてみてください。
■『ツバキ』 主人公がクローズドサークルを渡り歩く
『ツバキ』 押切蓮介 / 講談社
この作品の舞台は、「昔話」の時代の山奥深く。主人公の少女・椿鬼(ツバキ)は、狩猟を生業とする「マタギ」として山から山へと旅しながら、そこで出会った人々を時に救い、時に諫める……。
ツバキは自由に山々を旅しますが、彼女が訪れる山奥の村は、陰湿なクローズドサークル。主人公がクローズドサークル間を移動するというのは特殊な形式かもしれませんが、作中で描かれているムラ社会の閉塞感は秀逸! 小さな村の中にうごめく人間の業や、むき出しの悪意、欲望に背中がすぅっと冷たくなるのを感じます。そんな人間の暗黒部分が、押切蓮介先生のおどろおどろしいタッチで生々しく描かれています。
そんなクローズドサークルの呪縛を解く旅を続けるのがツバキの役目。暗い夜を越え、朝日を迎えるカタルシスも、クローズドサークルの醍醐味のひとつと言えますね。
■『闇の鶯』 幻想マンガの巨匠が描く、村社会の怪異
『闇の鶯』 諸星大二郎 / 講談社
伝奇や民俗学を題材に唯一無二のマンガを描き続ける、諸星大二郎作品も押さえておきたいところ。
本作は作者の単行本未収録傑作選を謳っている短編集です。土地開発会社に就職した男性が、山中で鶯という名の女性の姿をした「山の神」に出会う表題作を始め、ミステリというよりは怪異を描いた話が多く、この“クローズドサークル系”というテーマの中では異色作と言えるかもしれません。
しかし、独特の空気感が漂う田舎描写と、日常が徐々に異物に侵されていくゆるやかな恐怖感という、クローズドサークルのエッセンスが充分に楽しめるはずです。
日常から遠く離れた世界を仮想体験したくなったら、クローズドサークル系マンガでスリルを味わってみてはいかがでしょう?
★記事:ぶくまる編集部