【中国】「パンダ肉流通」トンデモ報道のウラ事情

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様々な肉が流通する中国の食事情
様々な肉が流通する中国の食事情

 大きなニュースがないときでも、新聞は紙面を埋めなくてはならない。そうしたときに掲載される、どうでもいいようなネタを業界用語で「暇ネタ」と呼ぶが、このパンダ記事などまさにその典型だろう。5月14日付けの朝日新聞に掲載された『野生パンダ殺し肉売買 密猟容疑で住民逮捕 中国雲南省』という記事だ。

密猟で逮捕されれば10年以上の刑も

 そもそものネタ元は中国の新聞記事で、昨年12月、雲南省の地元住民がメスのパンダを猟銃で殺し、肉35キロと手足を4800元(約8万6000円)で売り払ったというもの。中国では「国家的動物」ともいえるパンダの密猟は重罪とされ、最高で10年以上の刑が課されるという。

 さすが4つ足のものなら机以外は何でも食べる、といわれる国だけある──このネタをこんな論調で、掲載しているのが5月21日発売の週刊文春である。在日中国人向け新聞の中国人記者も笑いながら言っていた。

「昨年12月のネタをなぜ、今頃になって中国で報じられたのか。野生動物の密猟に業を煮やした中国当局が、意図的に書かせた記事に決まっていますよ。それもパンダといえば、インパクトも絶大ですから、密猟抑止効果があると考えたんでしょう。中国各紙の記事をいくつか読んでみましたが、はっきり言って真偽不明、怪しさ満点の記事でした。だいたい雲南省はパンダの生息地ではないですから。もしこの記事が事実だとしたら、それこそ学術的意味のある事件ですよ」

 このネタを掲載した文春にしても、中国=野蛮な国、と言いたい意図が山々の論調。「びっくり中国ネタ」はここ数年の暇ネタのトレンドだが、

「そろそろ真偽不明の怪しい記事を垂れ流すのはやめてほしい」

 と前出の中国人記者は話す。

 ちなみに昨年末、中国東北部のハルビン市を取材で訪れたとき、あるレストランの店頭にネコが数匹入れられたカゴが置いてあった。もちろんペットではない。ネコ料理を食わせる店だったことを付記しておく。

(取材・文/小林靖樹)

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