【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第1回|人だけに頼らないビジネスを

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【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第1回|人だけに頼らないビジネスを

 2015年2月19日、オンライン英会話サービスやモノづくり支援など、次々と新規事業を立ち上げるDMMグループの会長・亀山敬司と、トレンダーズの創業者で、最年少上場女性社長としても知られるカラーズ代表取締役・経沢香保子氏の対談がちゅうつねセミナーで行われた。その模様を計5回にわけて配信していく。

高校を卒業して税理士目指して専門学校へ

経沢香保子(以下つね) ちゅうつねセミナー、ゲストはDMM亀山会長です。みなさま拍手で。

亀山敬司(かめ) よろしくお願いします。

つね 亀山さん19歳で起業されたそうで、今現在53歳。その辺の経緯を。じゃあ高校卒業してすぐ?

かめ 高校卒業して上京。税理士目指して専門学校。

つね 税理士目指してたんですか?ご実家が商売やられてたんですか?

かめ 家はうどん屋とか、飲み屋とか、海の家とかやってて。子供の頃は手伝いばっかりしてたから。そういうので商売は好きだった。在学中に税理士は将来あまり儲からないなと思って、1級を取ったあたりでやめて、自分で商売やろうかなって。

つね 一番最初は、19歳の時は何をやられたんですか?

かめ アクセサリーの露天商。道端に布きれひいて「ペンダントに名前入れますよー」って。あとアメリカのダイムコイン(編集部注:10セントコイン)とかに鎖つけてネックレスにしたり、自分で絵描いたのを売ったりとかしてた。

つね 手作りを販売してたってことですか?売れました?

かめ 手作りっていっても、漫画のアラレちゃんとかその脇キャラのニコチャン大王とかスッパマンとか、そういう商品になってないキャラを皮に描いてキーホルダーにして売ってたんだけど。1個500円くらいで結構売れたのよ。

つね 中国人バリのたくましさですね。

かめ まあ確かに、著作権は無視だからね (笑)

つね それからどういう風に? そこで貯めたお金で次に?

かめ もともとは貯めたお金で「貸しレコード屋」をやろうと思ったんだけど、いろいろ考え変わって世界中を旅して回ってた。

つね 海外に行く時はいつも目的があって?商売のネタを見つけに?

かめ なんかあったらいいなって。目的はなくてフラっとね。だから旅の途中でラスベガス寄っちゃったらカジノで一文無しになって、その後ニューヨーク行って日本レストランで働いてたかな。

つね たくましいですね。

かめ それでそのあと、メキシコにトルコ石っていう青い石があるんだけど、その頃サーファー達に流行ってて。それを山ほど買ってカバンに詰めこんで帰って来たら、税関で捕まって。

つね そりゃ捕まりますよね。石は取り上げられちゃった?

かめ いや、税金払え。領収書出せみたいな。まあそれも想定してたから領収書は半分は捨ててあって、半分だけ見せて、10%とか言われたからまあ事実上5%で済んだような感じだった。

つね それはすごい。石は売れたんですか?

かめ 当時まだ20歳くらいだったから、世の中の問屋とか掛売りとかの仕組みを知らなくて、お金が続かなかった。売ってから3ヶ月間お金くれない、会社じゃないと取引してくれない、実績がないとダメとかいろいろ言われて、お金も信用も足りなかった。これは無理だなーと思ってしょうがなく仲間の露天商たちに叩き売って終わったかな。

雀荘の店番をしながら流通ビジネスの勉強

つね 他にどんなビジネスを。その後

かめ その後はね、結局そのまま石川県に帰って、麻雀の店やったり、ビリヤードのプールバー、旅行代理店とかファミコン店とか、そのフランチャイズ展開とか。

つね 箱系ビジネスですね? その時はどういう軸で商売を考えたりとか選んだりとか?

かめ その頃は店舗商売くらいしか浮かばなくって。日経流通新聞ていうのがあったんだけど、雀荘で店番してる時はそんなのばっかり読んでたかな。日経とか読んでもチンプンカンプンでよく分かんない世界だったから。

つね 今までのお話だと、わりと一つずつのビジネスを売ってお金にするというやり方だったと思うんですが、それがチームでやるとか、大きなネタでやるっていうのを思い付いた時は何かきっかけがあったんですか?

かめ 飲食店みたいなサービス業って結構大変で、雀荘やった後にプールバー始めたんだけど、雀荘を人に任せたら半年も経たずに潰れちゃったのね。結局自分でやるよりサービスが悪くなるじゃない。だから接客サービスだけじゃなくて、仕組みとか、在庫とか、あまり人だけに頼らないビジネスがしたいなっていうのがあって、その後ビデオレンタル店を始めたって感じ。

つね 「これ当たったな」っていう感覚はいつ、どんな時に感じましたか?

かめ ビデオレンタルは仕組みが良かったな。仕入れたテープは全部経費になるんだよ。資産扱いじゃないから減価償却でなくて、いくら買っても即座に経費。会社は税務上儲かってないように見えるんだけど、在庫はどんどん増やせるわけ。だからテープが増えれば2店舗3店舗とどんどん出せる。その商品が含み資産になって将来売れるみたいな商売だった。

つね なるほど。

かめ 当時はバブルの頃でみんなが儲かってたから、TSUTAYAさんも「儲かりますよ」っていうよりも「税金が助かりますよ」みたいな言い方でフランチャイズを増やしてた。日経新聞とかにフランチャイズ募集の広告出したりして、頭いいなと思ったよ…。そういう仕組みで店舗は大きくなっていってお金が残らなくて在庫が残ったね。

 実際に当時は出店が多くて中古商品が引っ張りだこ、1本1万円で買ったビデオテープが中古で5000円くらいで売れてたから含み資産だったんだ。ところが10年経ってDVDに変わったらこれがゼロになっちゃったっていう。みんな財産だと思ってたらいつの間にか消えちゃったっていう。最後のオチはそれなんだけど。

著作権を持つためにエロに進出

かめ とにかくそういったことでその頃は店舗が伸ばせたかな。それでも限界はあったのでビデオレンタル店に見切りをつけて、メーカーとかやろうかなって流れになって。

つね ビデオをレンタルする側から今度はコンテンツを作る側に回ったらもっといいんじゃないかって?

かめ 作るまでは思わなかったけど、権利が欲しかったね。著作権ってやつが欲しかったかな。それがまあ、エロに入った道という。

つね エロ街道。やっぱエロは儲かるんですか? まあやり方だと思うんですけど。

かめ もちろんエロだけじゃなくて、いろんなことやってたんだけど…。実は、17年ほど前にホリエモンと映画情報サイト一緒にやろうとしたんだけど。結局映画は権利関係が厳しくて配信もできないし。結果的にエロがやり易かったってことだけかな。

つね それは何でやり易いんですか?

かめ まず、権利関係が楽だったから。映画だと俳優や作家がダメって言うだけで配信できない。当時はCMトレーラーさえも許可が出なかったかな。エロだったら話が早くどんどん配信できたし、ユーザーもコンテンツにお金を払ってくれた。映画には払わないけどアダルトには払うっていうのがあって。

つね 確かにそうですね。作るのはラクだし買う方はお金を払ってくれるっていう。両方が美味しかった。

かめ 色々やった中でたまたまエロの部分が大きくなったということなんで、別に思い入れはなくて。そこがもう伸びないから、別のビジネスを伸ばしてるっていうのが今現在かな。

(【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第2回へ続く)

【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第2回|狙うは先行者利益
【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第3回|騙されることでタフになる
【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第4回|節操のなさも個性
【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第5回|泥臭い仕事で有利に立つ

※対談全編の音声はこちらからお聞きいただけます。

プロフィール

株式会社カラーズ代表取締役社長

経沢香保子

桜蔭中高→慶應経卒。新卒でリクルート→創業間もない楽天で楽天大学を設立後、26歳自宅でトレンダーズを創業。30代で、3回の出産・育児、2012年に東証マザーズへ当時最年少女性社長での上場を経験。2014年(株)カラーズ設立 代表取締役社長。

株式会社カラーズ:http://colorsinc.me/

プロフィール

DMMグループ会長

亀山敬司

石川県のレンタルビデオ店からアダルト、IT業界の大物まで登り詰めるも、めったに人前に姿を現すことがなく、その正体は謎につつまれている。

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