【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第3回|騙されることでタフになる

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【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第3回|騙されることでタフになる

 2015年2月19日、オンライン英会話サービスやモノづくり支援など、次々と新規事業を立ち上げるDMMグループの会長・亀山敬司と、トレンダーズの創業者で、最年少上場女性社長としても知られるカラーズ代表取締役・経沢香保子氏の対談がちゅうつねセミナーで行われた。その模様を計5回にわけて配信していく。

また騙されちゃった! でいいじゃん

経沢香保子(以下つね) 私が去年すごく人生で悩んでいて、いろんな壁にぶつかった時に亀山さんに相談に行ったんですね。突然。

亀山敬司(かめ) 会って2回目にいきなり何を言い出すんだって話だったよね。会社来るから仕事の話でもあるのかなって思ったら、いきなり人生相談はじめたから。「なんだコイツは。俺に抱かれたいのか?」と思って(笑)

つね それで「旅に出ろ」って言われたんです。遠くに行くと仕事の夢じゃない夢を見るようになるんだよって。私は当時本当に毎日悪夢ばっかり見てたし、夜も眠れない感じだった。旅に出て、空を見て、自然の中にいるとそういう夢じゃない夢を見るようになったら正常なんだよ、みたいなことを仰ってましたよね。

かめ 悪夢だけじゃないけど、日常ではありがちな夢を見るじゃない。でも旅とかでずっと世間から離れてると、空を飛ぶ夢とか、怪獣が出てくる夢とか、そういうのがまた見れるようになったりして、結構新鮮なんだよ。でも1ヶ月くらい行かないとダメだけどね。

つね その言葉ですごく癒されて、その後なんとか皆さんの助けで乗り越えましたけど、その時に私は色々と人に裏切られたりとかもして辛かったので、「亀山さんは騙されたりしないんですか?」って聞いたら、「また騙されちゃった!でいいじゃん」って言ってましたよね?

かめ まあ、騙され慣れはしてきたよね。 騙されながらちょっとずつ成長していくもんだよ。仕事してたらやっぱり色んなことがあるからタフになる。例えば昔だったら、社員の不正があったりすると半年くらい引きずったりしてたのが、2回目になると1ヶ月で立ち直り、3回目になると1日で、4回目になると5分で立ち直れるようになる。

 結局信頼しないと何も出来ないから、仕事は任せるしやり方は変わらないんだけど、その中でも万が一っていうのが、100が1、10が1くらいになってくるのが気持ちの中にあるんだと思う。

つね そうですよね。人に仕事任せる時はやっぱり、その人を信じないと任せられないですよね。そこでお互い疑いがあるとどうせうまくいかないし、だったら騙されてしまったとか、上手くいかなかった時の受け止め方を変えるしかないって話ですよね。

かめ 騙された時に恨むとね、人を呪わば穴二つって言うように、まあ同じ風になっちゃうから。「まあしゃーないな。あることやわー。俺でもやるかもなー」みたいな。そういう風に思うと楽は楽。人は弱いし残念だとは思うけど、そういったことがあっても普通だなって思う方が自分も楽しくやれるし、楽にやれるっていうのはあるかな? 

つね 起業してると、普通じゃ経験できないような激しいパンチを受けるので、もちろん体力というか受け止める力をつけるというのと、切り替え力があると次にどんどん行けますもんね。

かめ その辺はもう、人の優しさも醜さも弱さも色々混ぜこぜになって仕事ってあるから、それが楽しめるといい。でも不正がもとで会社が潰れちゃうのは良くない。だからできれば、万が一その人が持ち逃げしても自分が生きていられるくらいは残しておいた上で預けるのが一番いいかもしれない。そしたら自分が復活できるから。でそうなると、ちょっとずつ傷ついた方がタフになるよ。

つね 余裕を持つってことですよね。

かめ いきなりドーンと傷を受けると、なんかもう人間不信になったり、トラウマになるじゃない。「この人だけー」って恋をすると、その人にガクーっと裏切られたら男性不信になるとかあるじゃない。だから「あっちもこっちも」って適当に(笑)

つね 岡田斗司夫の彼氏3人理論みたいな(笑)

かめ まあそうだね。これがダメならあっちがあるくらいの想いで、だから旦那さん1人しか知らないよりは、過去に色々あって結婚した方がショックも受けにくいかもしれない(笑)ブルーハーツで「なるべく小さな幸せと、なるべく小さな不幸せ、なるべくいっぱい集めよう」って歌があるじゃない? ああいうのって、やっぱり大きい不幸せは困るけど、小さいのはいいかな?って…。なんかちょっと変な話になったね (笑)

アイデアより実行力が欲しい

つね 亀直の話をちょっと。今日はみんなとっても興味があると思うので聞きたいなと思って。

かめ なんか野望系女子が多そうだしね(笑)

つね そう、野望系女子がいっぱい来てますよ(笑)まず亀直ってなんですか?

かめ 新規企画事業部って感じだったんだけど、俺が直属にしてるから亀直って呼ばれ出して。今までうちの雇用は終身雇用的に次の業種にみんなを移しながら、雇用を守ろうっていう考え方をずっとしてきたのよ。だから中の奴にもどんどん新しいこと教育して、新しい仕事をやらす会社だった。でもそれだけだと限界があるから、外のいろんな会社のキャリアの人たちの、新しいノウハウを入れていこうっていうのが亀直の考え方で。

つね なるほど、なるほど。

かめ でもそういった人たちってギャラも高いし別の仕事をやってたりする時もある。だから今の雇用と全く違うスタイルをやってみようかなって思って。まず半年間の契約をしましょうと。その半年間の間に会社来ても来なくても副業やってもOK。とにかくその間にGO出すプランを出せっていう感じの部隊。

つね じゃあ何かプランがあって、亀山さんにプレゼンして、お給料もらうってことなんですか? 予算をもらうってこと?

かめ 給料も予算もあげるけどVCじゃない、出資するというよりは中でやらせる、ということになるね 。そして、アイデアよりはその人がやれるかどうかで決める。

つね コミット力?

かめ うん。ビジネスのアイデアっていうのは「オリジナルで考えました」ってアイデアより「これアメリカで流行ってます」ってアイデアの方が成功することが多い。だからアイデアを貰うっていうよりも、アイデア込みでこの人がやれるという、それが欲しい。

つね 実行力が欲しい。

かめ なかには「自分の会社買ってください」ってパターンもあったりする。自分でやってたけど資金的に足りないから、「丸ごと買って投資してください」みたいな。

つね 最近、亀直案件で良かったものとか、面白いなって思うものってどんなものがあるんですか?

かめ 例えば英会話とかは亀直プラン。

つね 英会話あれ、すごい激安ですよね?

かめ うん。儲かってないけどね。毎年5~6億円赤字だね。

つね ずいぶん出してますね。どこ目指してるんですか?最終的には。

かめ 3年か4年後に儲けようみたいな感じかな。これは特にオリジナル性もないプランだったので、まず大手の2社へ買収に交渉に行かせたら「どこも売ってくれません」って。まあ当たり前だよね。失礼な話だしね。じゃあ自分でやりますって言ってフィリピン行って、スタッフや講師をたくさん雇って、どんどん大きくしてった感じ。

 元々は彼もコミットしたいから「1年〜2年後に黒字にします」っていう事業計画書いてくるんだけど、結局それだったら将来ダメになっちゃうと思ったので、逆に俺の方で「赤字でもいいから1番になれ」っていうような提案になった。ここに更に投資しようと思ったのは、実際にサービスが始まってみたら、ユーザーの評判が結構よかったの。Twitterとか見ても、「使いやすいし他社よりもいい」みたいな。

 じゃあ彼らは、ちゃんとサービスは作れるなと思い、プロモーションのメンバーつけて資金を投入すればものになるかなと。どんな宣伝してもダメなものは売れないしね。ってことで広告予算も付けてテレビCM出して半額でやろうと。

つね えー、いいですね、それ 。

かめ 通常ベンチャー企業って初めにいくらか投資してもらって、次のフェーズにお金入れますか?みたいに考えないといけないから、途中である程度結果出さないとお金だって集まらない。だから3年4年先を見て投資する事業っていうものは、初めからガッツリいったほうがやりやすい。

つね そうですねー。

かめ だから投資をしてくってよりは「リスク全部被るから一緒に伸ばそうぜ」みたいな。そんな時に株とかって言ってても話がややこしくなるから。俺の独断と偏見で半年後に「これでやろうぜ!」って査定するから続けるか決めてって感じかな。お互い必要だったらその後もやれるだろって話だし。そういう出会い方なんで、ちょっと契約的なやり方かな。

つね なるほど。じゃあ全ての人にチャンスがあって、育て方はケースバイケースということですね?

かめ 3日くらいしか会社に来なくて、半年間給料払って終わったやつもいるけどね。 それもルールだからしょうがないで終わる。でも「艦コレ」一発でバーンと何十億ってなったから、それまでの損失分は全部回収。だから成功するのは採用したうちの1割かもしれないけど、他の9割の失敗は補うだけの成功はしてくれるかな。艦コレはたまたまなんだけど、そういう投資もしないとラッキーもないから。

(【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第4回へ続く)

【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第1回|人だけに頼らないビジネスを
【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第2回|狙うは先行者利益
【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第4回|節操のなさも個性
【亀山敬司×経沢香保子~新規事業の作り方】第5回|泥臭い仕事で有利に立つ

※対談全編の音声はこちらからお聞きいただけます。

プロフィール

株式会社カラーズ代表取締役社長

経沢香保子

桜蔭中高→慶應経卒。新卒でリクルート→創業間もない楽天で楽天大学を設立後、26歳自宅でトレンダーズを創業。30代で、3回の出産・育児、2012年に東証マザーズへ当時最年少女性社長での上場を経験。2014年(株)カラーズ設立 代表取締役社長。

株式会社カラーズ:http://colorsinc.me/

プロフィール

DMMグループ会長

亀山敬司

石川県のレンタルビデオ店からアダルト、IT業界の大物まで登り詰めるも、めったに人前に姿を現すことがなく、その正体は謎につつまれている。

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