“カープ女子”ブームの火付け役『球場ラヴァーズ』で人生が変わる!? (2/3ページ)
さて、上の実央の言葉に対する2人からのアンサーは――。
「状況も立場も気持ちもバラバラの人たちがここでだけひとつところをみる。ここは堂々と他人を応援できる場所なの!いいでしょ?」
この言葉に感化された実央は、月に2回、カープの試合を観戦することを決意。ここから実央は“カープ女子”としての道を歩み始め、勝子とみなみから野球の手ほどきを受けるのだが、実際のカープ選手のエピソードによるその内容がディープで実にいい!
例えば、前田智徳選手がホームランを打つも納得がいかず、「あんなホームランで相手選手に申し訳ない」と言ったエピソード。
黒田博樹選手が、ファンが掲げた横断幕のメッセージ「君が涙を流すなら 君の涙になってやる」を見て、移籍を1年先送りにしたこと。
そう、カープファンでなくても思わず心がぐらつき、図らずもカープを好きになってしまう。そこが『球場ラヴァーズ』の肝だろう。
もうひとつの肝は、実央の成長物語だ。「なんで敵チームに行った選手を応援できるの?」「なんでドラフトは選手がチームを選べないの?」。そんな勝負の世界の不条理や現実に触れることで、実央は自分の置かれている立場を見つめ直し、カープ女子2人の励ましの――時に人生の真実に触れる――言葉を得て、人間として成長を遂げていく。
「野球と球場と赤い帽子の人と基町さん みなみさんに運命を変えてもらいました」
カープと出会って1年後、実央はここまでポジティヴに変化する。球場の持つ空気、応援する人々の熱気にすっかり魅了されたのだ。閉じていた心が開かれ、巻を追うごとにコメディータッチに拍車がかかる。実央の父親が西武ファンで、「家庭内に敵出現!」「親子断絶レベル」とワナワナ震える姿は、なんとも愛らしく面白い。そして、最終的に実央はビールの売り子になる。野球は、1人の少女をここまで変える魅力を持っているのだ。
『球場ラヴァーズ』は、実央の成長を描いた第1章『球場ラヴァーズ~私が野球に行く理由~』の連載終了後、ビールの売り子をしている女子大生を主人公にした第2章『球場ラヴァーズ ~私を野球につれてって~』、実央にカープ愛を指南した基町勝子を主人公にした第3章『球場ラヴァーズ~だって野球が好きじゃけん~』と続く。