女子アナも赤面発表「枕営業は浮気じゃない」判決の波紋

デイリーニュースオンライン

銀座では今夜も<枕営業>が…!?
銀座では今夜も<枕営業>が…!?

 耳を疑った。

「クラブママと男性の関係は、いわゆる<枕営業>であり…」

 テレビでニュースを見ていたら、真面目な顔をした女子アナウンサーの口から<枕営業>という言葉が飛び出したからだ。

 ……銀座のクラブママと夫が7年間にわたり不倫していたとして、妻がママに400万円の損害賠償を求めて提訴(注1)。先ごろ判決が明らかになり、理由がなんともユニークだったため、大きな話題を呼んだ。

 判決文によると、

「クラブのママやホステスは、自分を目当てとして定期的に通ってくれる優良顧客や、(略)同伴出勤に付き合ってくれる顧客を確保するために、様々な営業活動を行っており、その中には顧客の明示的または黙示的な要求に応じるなどして性行為をする<枕営業>と呼ばれる営業活動をする者も少なからずいることは公知の事実である」

 銀座のママやホステスの枕営業は、対価が飲み代に含まれているだけでソープランド等の売春と本質的に同義であり、

「<枕営業>であると認められる場合には(略)顧客の性欲処理に商売として応じたに過ぎず、何ら婚姻共同生活の平和を害するものではない」(同)

 として、<枕営業>を連発しつつ、始関正光裁判官は妻の請求を棄却した。「相手が水商売なら、浮気された側は賠償請求できないのか?」、「いやホステスと売春婦を一緒にしたらヒドイ」、「裁判官は自分がどっかのママと不倫しているんじゃないの?」などなど、今も巷やネット上では論争が続いている。

そもそも<枕営業>とは何なのか?

 江戸時代から<枕>には「異性と寝る」意味が付与され、「枕を交わす」といった言い方から、<枕附き><枕芸者>という言葉も生まれた。今回のような、接客業の女性の<枕営業>は<枕芸者>の発展形であり、時折り出する芸能界における枕営業告発(注2)なども、この系譜といえる。

 権力を使って肉体を求めたり、その意思の無い相手の弱みに付け込んで性交渉を強要、というのは明確に不道徳(不正)行為と思われるが、双方が納得づくで「うまくやってる」ケースも多い。やはり、外側から是非を判断するのは難しい関係なのだろう。

 とはいえ今回は、原告と被告の双方が争点にしていない<枕営業>の解釈論から判決が導かれた。損害賠償を求めた妻側は控訴しない模様。誰でも知っているが公には発さない言葉である<枕営業>に、市民権(?)を与えただけの珍判決は、かくして夜の街の伝説となった。

(注1)妻が提訴…妻と夫…そして銀座のママも熟年の、大人の揉め事だ。
(注2)枕営業告発…駆け出し女性タレントが、権力のあるプロデューサーやベテラン俳優にやられた! というパターンが多い。

著者プロフィール

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コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。DMMニュースではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ

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