鳥取の看護師6人一斉辞職騒動の裏にうごめく「介護業界の地獄絵図」 (2/2ページ)

東京ブレイキングニュース

 例えば、これはあくまで例えばの話ではあるが、何より自分に医療的ケアが必要じゃないかと思えるほど心を病んだ女性や、常に誰かをイジメていないと気が済まない人間性に問題のあるオバハン、そして離婚歴2桁の女性に、窃盗癖のある家出少女などが回している現場で、マトモな介護が受けられると思うだろうか。あまりにも悪い言いようだと自覚しつつ筆を進めるが、しかしそれが業界の現実になってしまっているのである。看護師の退職などまだマシで、最も怖いのは素人しかいない現場で人災的な事故の犠牲者が出ることだ。

 私がチラっと見知っているのは民間業者の話で、特別支援学校などの状況はそれほど詳しくないが、教員経験のある知人によると、苛酷さは学校も民間の介護職も大差はないようだ。よって、今回の看護師の一斉退職に対して 「無責任だ」と批判する気にはなれない。

 退職を決めた方の中には、自分自身が壊れてしまうギリギリまで戦い抜いて、それでも力及ばず逃げるしかなかった方もおられるだろう。また、助けが必要な子供を置き去りにして自分だけ逃げることに心を痛めている方もおられるだろう。だが、養護・介護の現場は、そんな良心や善意を持った人間から順番に死んで行くような状況なのだ。逃げられるタイミングがあるならば、自分の命や人生を守るためにも、一時撤退も仕方ない選択だと言うしかない。間違っても、辞めざるを得なかった人間を安易に批判すべきではない。ハンデを持った子供や老人の命と看護師やヘルパーの命に差を付けるような言動は慎むべきだろう。誰も死にたくて働いている訳ではないのだ。

 現在、衆院を通過しそうな『労働者派遣法』の改正案があちこちで取り上げられているが、人の命を預かるこうした業界の過酷・劣悪な労働環境についても、もう少し議題に上がってもいいのではないかと思う。今考えるべきは環境の改善であって、心身をすり減らした看護師やヘルパーを取り囲んで「シネシネ」と罵声を浴びせることではないはずだ。

Written by 荒井禎雄

Photo by 鳥取県立鳥取養護学校 Google Mapより

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