月探査の「秘密兵器」?人間が居住できる移動式シェルター (1/2ページ)
1960年代から70年代にかけて実施されたアメリカ航空宇宙局(NASA)による『アポロ計画』は、全6回の有人月面着陸に成功。計画には莫大な予算が投入されが投入され、のべ12人の宇宙飛行士が月面に着陸したが、月面活動を行った時間をすべて合計しても3日と6時間に過ぎないという。
このように宇宙飛行士は着陸船に備えられた生命維持装置から離れることができず、長時間の船外活動を行うことができないため、月の表面の探査が十分になされているとは言えないのが現状だ。そんななか、マサチューセッツ工科大学(MIT)の航空宇宙科学のエンジニアたちが、近い将来の月面探索に向けた斬新なコンセプトデザインを発表し、宇宙・科学ファンの大きな注目を集めている。
■ 軽く、パッケージ可能で、膨脹式の“居住空間”
国際宇宙航行アカデミーが刊行する『Acta Astronautica』誌に掲載された論文で、研究チームは宇宙飛行士による月面の船外活動の範囲、科学的な可能性、そして安全性をも向上させるコンセプトを発表。アイデアは単なる空想ではなく、実際の月面環境の条件を基に過去のデータや計算式を駆使し、実現可能性が担保された科学的根拠のあるものとして提出された。
そのアイデアとは、具体的には、軽く、パッケージ可能で、膨脹式の“居住空間”だ。この移動式住居は、月面車に積載できるようデザインされ、膨張式ポッドで2人の宇宙飛行士が一泊するのに十分なシステムを備えている。
体が日光で焼け焦げるのを防ぐ反射シールドをはじめ、酸素、水、食料を供給するライフサポート・システム、居住スペース内の気温調節機能、二酸化炭素の排出機構、そしてシェルターの電源供給や月面車のチャージを可能にする太陽電池パネルなどを搭載。これらすべてをパッケージしても重さは124kg、体積は594リットル程度と、重い冷蔵庫のようなサイズ感なのだ。