言論の府をプロレスリングと勘違いする民主党と最凶の乱闘要員たち

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民主党の妨害行為で負傷した渡辺博道委員長
民主党の妨害行為で負傷した渡辺博道委員長

【朝倉秀雄の永田町炎上】

民主党議員が渡辺委員長の携帯をとった?

 6月12日、衆院厚生労働委員会は「労働者派遣法改正案」の締め括り質疑を行なう予定になっていたが、これに反発した民主党の委員たちが“野獣”と化し、筆者の友人の渡辺博道委員長の入室を妨害すべく、「首を絞める、足を蹴る」などの蛮行に出た。

 渡辺氏はこの「乱闘騒ぎ」で頚椎捻挫による全治2週間の怪我を負い、「言論の府としてあるまじきことだ」とまさに怒り心頭の様子だ。

 それだけではない。民主党は委員会を欠席しながら、終了間際に野党筆頭理事の山井和則をはじめ中島克仁、阿部屋知子の3議員が乱入。委員長席を取り囲んで議事進行を妨害するという暴挙に出た。

 自民党はさっそく3名に対する懲罰動議を衆院に提出したが、『週刊新潮』(6月25日号)によれば、渡辺氏はこの騒動の最中に携帯電話を紛失したらしい。幸い携帯電話はその日のうちに発見されたが、なくなったのは衆議院分館3階なのに出てきたのは1階。それも自動販売機の下だったというのだから、「乱闘のドサクサ紛れに民主党議員の誰かが盗んだか拾ったかした後、自動販売機の下に捨てたに違いない」というのが渡辺氏側の観測だ。

 いずれにせよ、国会審議におけるプロレスまがいの乱闘騒ぎなど、英米など先進国の議会ではとても考えられないのだから、民主党の「頭脳」ではなく、「腕力」に頼ろうとする民主党の野蛮な国会戦術は、日本の議会制民主主義の未熟さと、国会議員の質の悪さとを露呈していると言えよう。

民主執行部は事前に「飛びかかれ」と教唆していた?

 何よりフザけているのは、渡辺委員長に怪我を負わせておきながら、岡田克也代表は当日の記者会見で「こちらも、こういったやり方もやむをえない」などと宣ったことだ。さらに長妻昭代表代行も6月14日の『新報道2001』(フジテレビ系)で「実力行使はやむをえない」などと囁き、暴力を正当化し、いっさい反省の色を見せていない。岡田や長妻、理事の山井には、どうやら首を絞めたり、怪我させる行為が“犯罪”だとわかっていないらしい。

 橋下徹大阪市長は、6月15日にツイッターで「民主という政党は日本の国にとってよくない」と発信したが、筆者も同感だ。

 反省しないのも当然。乱闘騒ぎが実は党ぐるみだったからだ。当日、民主党執行部は事前に委員たちに国会内の見取図を配り、「ここで委員長に飛びかかれ」などと、こと細かく指示したというのだから、計画的で、かなり悪質だ。こうなると「組織暴力団」と少しも変わりがない。

大仁田厚よりも強かった一橋大学卒の“乱闘要員”

 血気盛んな議員の多い民主党という政党は政策能力はさっばりだが、体力だけはめっぽう自信があるらしく、政権を獲る前の野党時代(現在もそうだが)には始終、乱闘騒ぎを起こしていた。

 乱闘要員は予め決まっていて、当然ながら体力に優れた屈強の人間が選ばれる。そんな代表がかつて「政界の朝青龍」とか「モンスター」とかと呼ばれた木俣佳丈元参議院義員だ。木俣は一橋大学卒で経団連の事務局職員出身だが、何せ身長1m91cm、体重100kgの巨漢だ。おまけに空手の有段者だから、その破壊力はすさまじく、委員長席を守る自民党の「用心棒」の大仁田厚と取っ組み合いになると、大仁田よりも強かった。よほど腕力には自信があるらしく、2005年12月には知人と飲食中、女性従業員を蹴りつけて傷害容疑で書類送検されている。さらに特別委員長だった木俣の運転手を務めた参議院職員をボコボコにした一件もあった。

 一方、日頃は気が小さく、妻に暴力を振るうくらいしか能がないくせに、突如としてキレる者がいる。そんな男の典型がかつて小沢一郎の子分だった内山晃元衆議院議員だ。内山は小沢の口車に乗って民主党を離党し、新党『きづな』なるものを創り、代表に納まったのはいいが、党は崩壊。目下、浪人中の身の上。そんな内山も木俣と同様、暴力が得意だ。2007年5月に衆議院厚生労働委員会で突然、桜田義孝委員長(当時)に襲いかかり、羽交い締めにし、委員長席から引き離すという「ご乱行」に及び、懲罰処分を喰らっている。ちなみに桜田と今回、怪我をした渡辺とは千葉県立東葛飾高校の同級生で親友。揃って民主党の“毒牙”にかかっているのだから、政界は面白い。

民主党の女乱闘要員・森ゆうこの武勇伝

 もっとも民主党の乱闘要員は何も男だけとは限らない。かつてものすごい「猛女」がいた。それは小沢一郎側近で、陸山会事件について著書を出し、小沢擁護論を展開していた森ゆうこ元参議院議員だ。

 森は2003年7月25日の参議院外交防衛委員会でイラク特措法の強行採決に反対。スリットの入った短めのタイトスカートから太股を露にし、まくれ上がったブラウスからブラジャーをチラつかせながら、松村龍二委員長席の上に登り、その際、「用心棒投」の元プロスラーの大仁田厚議員の髪の毛を掴み、殴りかかるという“武勇”を披露をしたのだから、大したものだ。

 そんな「強い女」と対照的だったのが、「政界一マヌケな女」こと三宅節子元衆議院議員だ。三宅は大使の「お嬢様」だが、よせばいいのに衆議院内閣委員会に乱入。野党譲員(当時の民主党は政権与党)が委員長席に詰め寄るのを妨害しようとして前のめりに転倒。「全治3凋間」の怪我を負っている。

 そんなわけで日本の国会は、嘆かわしいことに言論の府ではなく、プロレスのリングと化しているようだ。

朝倉秀雄(あさくらひでお)
ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(以上、彩図社)など。最新刊『平成闇の権力 政財界事件簿』(イースト・プレス)が好評発売中
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