吉田豪インタビュー企画:作詞家・及川眠子「年収は3000万以上をキープ。でも、元旦那の作った多額の借金を背負っちゃって…」(3) (3/3ページ)

デイリーニュースオンライン

たかじんやWinkの歌詞は日記のようなもの

──たとえばレコード会社の人に嫌なこと言われて、チクショーみたいなことはなかったですか?

及川 ありますあります。でもそれも簡単なんですよ。売れたら態度変わるんですよ。「俺が育てた」とか言い始めるんですよ(笑)。

──ペーペーの女性作詞家だったら、まあナメた態度取られますよね。

及川 うん。でもそれもひどい目に遭ったっていうのはあんまりないんですね。憎むほどのこともないし。目の前で歌詞を捨てられたりとか、「こんなの書いてたらダメだな」って嫌味言われたりとかはありますけど、そんなひどいのは……べつに手籠めにもされなかったし(笑)。

──たいしたことはない(笑)。

及川 たいしたことはないですね。

──業界の嫌な部分を見ないままで生きてこれたというか。

及川 うん、見てないですね。気づかないのか見てないのか。でもね、売れてる人たちってそんなに見てないと思いますよ。あんまりエグい人たちがいない。売れてる人ってわりとみんなピュアだったり、ドロドロしてない。

──単純にボクが仕事してて思うのが、それこそ枕強要的なものにしても、発覚するのってすごいアンダーグラウンドの世界じゃないですか。あれはそれに相応するメリットを一切提示できない人がやってるからそうやって問題になるんだろうなと思ったんですよ。お互いに得するような状態だったら、たぶんそこまでにはならない。

及川 「あんた誰?」みたいなね。たぶんそうだと思います。

──枕が発覚した人を何人か見ましたけど。

及川 いいなー!

──「いいなー」なんですか(笑)。

及川 枕営業強要されたかった(笑)。あとは昔よくあったのが、アイドルやっててだんだん下がってきたときに、作詞家とか作曲家の先生と寝ろって言われたっていうのが、なんか週刊誌のニュースにもなったでしょ。「私はそうやって強要されました」って。だから作詞家になって、そういうのが来るのかなって思ってたんですよ。

──アイドル崩れが来るんじゃないか、と(笑)。

及川 そう、アイドル崩れが。「先生、この子とお願いします」みたいな(笑)。それがいつか来るかなと思ったら来ない。

──結構成功したけど全然ないぞっていう。

及川 そう、全然来ない(笑)。

──世間で言われているようなおいしい目はないってことですね。

及川 ないですね、そういう部分では。わりと男の作詞家とか作曲家って元アイドルと結婚してますけど、女の作詞家はないですからね。まあ、アイドルも何年もやってられないから、芸能界にいるあいだに婚活するんでしょうけどね。

──秋元康さん然り。

及川 後藤次利さんも奥さんおニャン子ですよね。

──そうですね、再婚で。

及川 再々婚ですよあれ(笑)。

──あれで干されないっていうのがすごいですよね、アイドルに手を出して逃避行して。

及川 そうね、木内みどり。一瞬干されたのが井上ヨシマサ、中山美穂の件で。

──でも、いまちゃんとAKBの曲やってますからね。たしかに男性と女性は違いますね。

及川 全然違うんですよ。女性作詞家で多いのは経営者とか、あとは音楽関係。作曲家とかアレンジャーとかミュージシャンと結婚してる人が多い。

──近い世界のほうが理解されるからいいんですかね。

及川 私、音楽関係ダメですね。妙に闘っちゃうというか、わかり合えすぎる、この業界のなかで。最初の結婚は同じ音楽業界の人でしたけど。

──結果、半年で。

及川 半年で。「私の仕事に口出すな!」になって(笑)。

──自分のそのときの状態って作詞に反映されたりします? 

及川 反映されますね。特にWinkやってるときとか、たかじんやってるとき、レギュラーでコンスタントに出してるときは日記代わりになります。Winkなんてもう日記じゃないかっていう(笑)。

──そのときの恋愛事情がそのまま。

及川 そうそうそう。「ああ、不倫してたな」みたいな。

──ダハハハハ! 読めばわかる(笑)。

及川 読めばわかるようになってるの。だから当時言ってましたよ、「及川にあんまり余計なこと言わないほうがいいよ、3ヶ月後には店頭に並ぶから」って。

──ここ最近のゴタゴタが作詞に反映されたりするのかなと思ったんですよ。

及川 蓄積にはなるでしょうね。ただ、「経験をベースに書いてますか?」とかよく言われますけど、逆に忍者になった経験はないですから。経験とか思ったことが自分のなかでストックになっていくんで。イライラさせられる男とか、気持ちが伝わらない男のほうが、後々ネタになってくれますよね。

──すべてプラスに捉えられる人ですよね。

及川 そうそうそう(笑)。ネタになる。

──確実に数年で借金返せそうな気がしますもんね。

及川 返します! ズルズル背負ってたくない(笑)。

プロフィール

作詞家

及川眠子

及川眠子(おいかわねこ):作詞家。1960年、和歌山県出身。1985年に三菱ミニカ・マスコットソングコンテストで最優秀賞を受賞し、応募作の『パッシング・スルー』(歌:和田加奈子)で作詞家デビュー。作詞した作品としてWink『愛が止まらない』『淋しい熱帯魚』、やしきたかじん『東京』、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』主題歌の『残酷な天使のテーゼ』などがある。また、アーティストのプロデュースも手がける他、ミュージカル、アニメ、CMなどにも詞を提供している。

プロフィール

プロインタビュアー

吉田豪

吉田豪(よしだごう):1970年、東京都出身。プロ書評家、プロインタビュアー、ライター。徹底した事前調査をもとにしたインタビューに定評があり、『男気万字固め』、『人間コク宝』シリーズ、『サブカル・スーパースター鬱伝』『吉田豪の喋る!!道場破り プロレスラーガチンコインタビュー集』などインタビュー集を多数手がけている。また、近著で初の実用(?)新書『聞き出す力』も大きな話題を呼んでいる。

(取材・文/吉田豪)

「吉田豪インタビュー企画:作詞家・及川眠子「年収は3000万以上をキープ。でも、元旦那の作った多額の借金を背負っちゃって…」(3)」のページです。デイリーニュースオンラインは、インタビューマスコミ芸能連載などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る