江夏、KKコンビ、大谷…プロ野球オールスター「熱すぎる名勝負」 列伝 (2/4ページ)

日刊大衆


全パの打線は1番・有藤通世(ロッテ)、2番・基満男(西鉄)、3番・長池徳二(阪急)、4番・江藤慎一(ロッテ)、5番・土井正博(近鉄)、6番・東田正義(西鉄)、7番・阪本敏三(阪急)、8番・岡村浩二(阪急)、9番は投手・米田哲也の代打、加藤秀司(阪急)という強力な布陣だったが、
「江夏は東田と阪本を除く7人を空振り三振に仕留めています。この日の西宮球場は小雨。江夏によれば彼の指の皮は人より柔らかく、すぐに破れてしまうため、雨中での投球は苦手だったそうですが、ファン投票1位のプライドが手を抜くことを許さなかったんでしょう」(前出のベテラン記者)

当時の江夏の投球は速球とカーブが基本。だが、江夏が「最も警戒した」という長池に対しては、珍しくフォークを投げて空振り三振に打ち取っている。
「長池は長距離砲ながら、32試合連続安打の記録を持つ好打者。それだけに江夏も目先を変えたんでしょう。このとき、投じたフォークは今で言うスプリット。指が短いせいもありますが、90年代に主流になる球種を、江夏はあの時代にすでに投げていたんです」(スポーツ紙デスク)

9人目の打者・加藤は1-1からの3球目を打ち、ファウルフライになったが、江夏が捕手の田淵幸一に、「追うな」と叫んだ場面は今も語り草だ。
前出の江本氏も次のように江夏の投球を絶賛する。
「あの頃の江夏はストレートがめちゃくちゃ速かったからね。私も打席に立ったことがあるけど、速すぎて見えないんです。しかも、コントロールもいいし、投球の組み立ても抜群。もう打者はお手上げですよ」

78年のオールスター第3戦で史上初の3打席連続本塁打を放ったのは、阪神の掛布雅之(23=当時)。7月25日、後楽園球場で行われた第3戦。3番サードで先発出場した掛布は第1打席は四球。4回に回ってきた第2打席で、日ハムの佐伯和司からオールスター第1号となるソロ本塁打を右翼席に叩き込んだ。
5回の第3打席は阪急の佐藤義則から右翼席上段に特大アーチ。8回には阪急の山口高志のカーブを右翼ポール際に運んでみせた。
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