SNS時代が生んだ新造語「シャイニーゲイ」とは? (2/2ページ)
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前ページでは「シャイニーゲイ」という言葉は、ゲイ当事者コミュニティでは必ずしも良い意味で使われていないことを述べ、この根源にはSNSの誕生があることについて書きました。
そして、SNSの主役がブログやmixiから写真や短文が中心のTwitterやインスタグラムに移っていくことで、「住む世界が違う人たち」の生活を気軽に覗けるようになったことについて書きました。後編では、こうした傾向が「シャイニーゲイ」という一種の“侮蔑語”につながっていくまでのことについて、書いていきたいと思います。
「住む世界が違う人たちの日常を覗けること」これはゲイの業界も一緒でした。
それまで「ステータス別」で分かれていた様々な人間関係。みんながTwitterやインスタグラム等を始めるにつれ、自分の所属する「階層」以外のコミュニティのゲイたちのライフスタイルを覗くことができるようになりました。
現実世界では話すことがなかったような人ともSNS上では以前よりも気軽にやりとりができるようになるなど、同じゲイでも「ステータス別」で住む世界が違かった者同士でのやりとりも生まれ、これまでのゲイ業界の人間関係のあり方が瓦解していくかのように見えましたが、実際にはそんなことはありませんでした。
SNSがいくら発達しようとも、結局は「ステータス別」でコミュニティは分かれているし、「シャイニー」な人たちは、やはり「シャイニー」な人と仲良し。
しかしこれは少し考えれば当たり前のことです。遊びに行く頻度や行き先、飲みに行くお店の価格など、これらの水準が似通った人たちが自然に仲良くなりますので、収入や金銭感覚が似た人が仲良くなるのは当然のことです。
また、多くのゲイは惚れた腫れたの恋愛話も好きですから、恋愛に関すること、もっと言えば「モテ度」も似通った人たちが自然と話が合うし心地よい、ということになっていきます。
だから、所謂「リア充層」のゲイたちは結局はリア充な人と仲良しだし、これまで通りリア充な生活を変わらずに送るだけ。彼らは自然な流れで遊びに行ったときに写真は撮るし、記念にSNSにアップすることもします。恐らく明確に誰かに見せつける意図などはないでしょう。
SNSの進化とスマホが生んだルサンチマン
かつて彼ら「リア充層」の生活は、「リア充層」のみの間で共有されていたものでしたが、SNSとスマホの発達によって、「別階層」の人にまで彼らのキラキラしたライフスタイルが発信されるようになりました。そして彼らが、羨望や嫉妬などの複雑な感情の眼差しに晒されるようになり、「シャイニーゲイ」と呼ばれるようになっていきました。
シャイニーゲイ。この造語の裏には、ニーチェの言うところの激しいルサンチマンが潜んでいるのだと思います。ルサンチマン、直訳すれば「強者に対し仕返しを欲して鬱結した弱者の心。」とでも言いましょうか。最近は前述のようにSNSを駆使する人が増えたことで、このルサンチマンが刺激される機会が大変増えたのではないでしょうか。
Twitterやインスタグラムが流行った後、やはりmixiのように原則的には承認制でありながら、Twitterやインスタグラムのように写真と短文を投稿する文化があるFACEBOOKに「リア充層」が移行して行ったのもなんとなく頷けることだと思います。
ヘテロセクシュアルにまで広まる「シャイニーゲイ」
先日、会社の上司と話していると、突然「◯◯君(僕の名前)って、シャイニーゲイっていうやつ?」と聞かれ、かなりビックリしたことがありました。
「どこでそんな言葉覚えたんですか!?」と聞くと、二丁目のゲイバーに潜入したテレビで紹介されていたと。僕はその番組を見ていなかったので興味があり「シャイニーゲイってどういう意味だと思っていますか?」と聞いたところ、オネェやオカマではなく、見た目は男っぽいゲイの人たちで、平日はしっかり仕事を持ち、休日はゲイの友人たちとのレジャーに忙しくしている人たちという解釈のようでした。
ゲイコミュニティ内では必ずしも好意的な意味に取られていない「シャイニーゲイ」という言葉ですが、ヘテロセクシュアルの間では非常に中立的、もしくは好意的な印象の言葉として解釈されていることに気付きました。
確かに言われてみれば、女装するゲイは「オネェ」、女っぽい仕草や言葉遣いのゲイは「オカマ」など、ヘテロセクシュアルからは同じゲイでもそれぞれ様々な呼び方が存在していましたが、男性っぽい普通のゲイに対する的確な呼び名は存在していませんでした。
「シャイニーゲイ」、その言葉のインパクトは非常に強いですから、ヘテロセクシュアルからはゲイコミュニティ内での使われ方と違い、「男性っぽい見た目のゲイ」のことを指す言葉として定着するかもしれません。
著者プロフィール

ゲイライター
英司
東京・高円寺在住のアラサーゲイ。ゲイとして、独身男性として、働く人のひとりとして、さまざまな視点から現代社会や経済の話題を発信。求人広告の営業や人材会社の広報PR担当を経て、現在は自社媒体の企画・制作ディレクターとして日々奮闘中。都内のゲイイベントや新宿二丁目にはたびたび出没(笑)