軍事オタクが唸る幻の「九九式高等練習機」をタイ国立空軍博物館で発見 (2/2ページ)
日本の貴重な航空機を展示
そんな日本との関係を示すもので、特に注目したいのが黄色く塗られた「立川 キ55」である。日本では九九式高等練習機と呼ばれるもので、九八式直接共同偵察機(キ36)を1939年に改造したタイプである。タイはキ36と55の両方を発注したが、納入されたのは1942年のキ55の方だけだったという。

唯一現存する立川キ55だが、タイ人にはあまり注目されていなかった
博物館内ではエアコンも効いていない、ほとんどオープンエアの館内に展示されているが、実はキ55は世界中で現存するのがここの機体のみで、ここでしか見られない貴重なものだ。
それから、敷地内にある売店もおもしろい。ここでは様々なグッズが販売されている。子ども向けのおもちゃのほか、制帽や階級章、ワッペンなどがあった。店主の女性に話を聞くと、
「こういった階級章などはすべて本当に空軍職員も使っているもので、レプリカではないんですよ」
と自慢げに答えた。博物館自体が空軍基地内にあるのだが、周囲も数キロに渡って空軍職員の居住地区になっている。そんな彼らも自費で制服を新調する際にはここに来るのだそうだ。しかも、それらのグッズは観光客も職員と同じ300円くらいから買えてしまうので、安い。
「タイ国内ではこれらを身につけても違法ではありません。ただ、それを使って身分詐称をすると逮捕されますけど」
店主は続けて棚から薄いシートの束を出して見せた。プラモデル用の装飾用デカール(シール)のようである。

零式水上偵察機のタイ王国海軍仕様のデカール
「現在のタイ空軍仕様のデカールはもちろんのこと、ゼロ戦のタイ軍仕様のものもあって、ほかでは手に入らないものも多いんです」
そのため、店主によれば、すでに多くの日本人マニアが買いに来ているのだとか。タイ王国空軍はまったくその気はないと思われるが、この空軍博物館は日本人にも非常に興味深い場所になっている。
(取材・文/髙田胤臣)