目は口ほどにものを言う。細長い目は狩るもの、丸い目はかられるものの証(米研究) (1/2ページ)
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食う者と食われる者、これを見分けるにはその目を覗き込めばいい。
米カリフォルニア大学バークレー校のマーティン・バンクス教授とウィリアム・スプレーグ博士らは、陸生動物214種の瞳を調査した。その結果、羊や山羊といった被捕食者は横長の瞳をしているが、猫やワニなどの捕食者の瞳は縦に割れていることが判明した。
そのどちらも、進化上の意味合いがあるようだ。草食動物の横に広がった瞳は、広い視野の確保に役立つ。こうした動物は頭の両脇に目があり、危険をいち早く察知できるようにパノラマ状で、盲点の少ない視野を発達させた。
また、敵を発見したあとは、自分が走っている位置の把握が必要になる。視界の隅で敵を捉えつつも、障害物は交わせなければならない。さらに、草を食べるために頭を低くしつつも、瞳を水平に保つために目を回転させることすらできる。こうした動物の目は生存に適したように進化したのだ。
一方、肉食動物の縦型の瞳は被写界深度を上げ、距離感を把握するのに適している。これは獲物の狩りには不可欠な能力だ。また、開閉可能なスリット式瞳孔は、薄闇の中でも目が見え、同時に太陽の光で目が眩むこともない。
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実験では、縦型で前を向いた瞳は、視界を移動する物体のスピードと焦点の外のぼやけという、距離を推測する2つの特定の手がかりにうまく反応できた。特に地面付近ではぼやけが効果的だった。こうしたことは、ネコ科動物の瞳の形を説明してしているだろう。
しかし、縦割れは地面の高さでその本領を発揮する。このため、地面に近い位置で暮らす肉食動物ほどこの瞳を持つ傾向があった。