「オレンジ共済詐欺事件」に酷似した武藤貴也議員の黒いカネ集め (1/2ページ)

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自民党時代の武藤貴也氏のHPより
自民党時代の武藤貴也氏のHPより

【朝倉秀雄の永田町炎上】

派閥の「教育機能」の低下が武藤のような不良議員を生む

 自民党の歴史はそのまま派閥の闘争の歴史でもある。派閥は業界用語で「ムラ」と呼ばれている。抜群の集金能力を持つ実力者が選挙資金まで面倒を見て子分どもを養い、結束し、数を競い、群雄割拠する。いざ総裁選ともなれば、ムラ単位で行動するのだ。

 総裁選は公職選挙法の適用を受けないから、いくらカネをバラ撒こうとかまわない。ムラがどの候補に肩入れするかは、カネ次第ということになる。かつて佐藤栄作元総理の後目を争った田中角栄と福田剋夫の、いわゆる「角福戦争」で田中がなかなか旗色を明らかにしていなかった中曽根派を抱き込み、福田をねじ伏せたのは、ひとえにカネの力による。

 ムラは札束が乱れ飛ぶ“金権政治“の土壌になりかねない反面、総裁選を活気づかせ、若手議員たちの教育機能をも営む。先輩議員が選挙のやり方やカネ集めの方法、やってはいけないことなどを指導するわけだ。ところが最近は派閥が弱体化し、教育機能も失いつつある。そうなると、当然、若手議員の質は劣化し、不祥事を起こすようになる。その典型が目下、世間を騒がせている武藤貴也衆議院議員だ。  国会議員に「良識を持て」「悪いことはするな」というのは、プロのドロボーに「物を盗むな」」というのに等しい。麻生太郎副総理の愛読書である『ゴルゴ13』の主人公・デューク東郷に「人を殺すな」というのと同じだろう。ちなみに武藤は離党するまではとかく「舌禍」や「暴言」の多い麻生の子分であった。

 筆者が国会議員の秘書として最初に仕えた某代議士は「極道と国会議員は所詮は半端者の稼業だ。政治にはカネがかかるから、たとえどんな悪辣な手を使っても貪欲に政治資金を集めなきゃならねえ。オレたちは常に刑務所の塀の上を歩いているようなもんだ」と公言してはばからなかった。国会議員の「悪事」といえば、政治資金収支報告書の虚偽記載か買収、公設秘書給与の詐取、口利きをして対価を貰う斡旋利得罪容疑などと相場が決まっている。

 その点、武藤議員の場合は極めて異質だ。武藤はよせばいいのに安保関連法案に反対する学生団体を「極端な利己的考えに基づく」などとツイッターで非難し、物議を醸したが、学生たちは60年安保闘争と同様、安全保障関連法案の中身など正確に理解せず、面白がって騒いでいるだけだから、武藤の心情も理解できなくはない。だが、それにしても表現が不適切すぎた。また『週刊文春』が報じる「同性愛疑惑」も、今や社会的に認知されているから責められないが、国有財産である議員宿舎に相手を連れ込んで“愛欲の巣”にしてしまったことは議員としての資質を疑われても仕方があるまい。

「オレンジ共済詐欺事件」とそっくりなカネ集めの構図

 最大の疑惑は、武藤と政策秘書の宮崎某が共謀して2014年11月に「『議員枠』で新規上場株が確実に買える。必ず儲かる」と称し、23人から4104万円ものカネを集めていたことだ。さらに株も買わずに6人の出資者に計700万円を返還していなかった。ちなみに宮崎某は久間章生元防衛相の秘書あがりだった男だ。

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