【大阪市分限免職】生き残った“最低ランク職員”のほうがもっとヤバかった

デイリーニュースオンライン

ダメ職員の魔窟となった大阪市役所
ダメ職員の魔窟となった大阪市役所

 勤務態度が悪いくらいではまず首を切られることはない──この今までの公務員の常識が崩れつつある。9月30日、大阪市で2人の男性職員が分限免職(解雇)、1人の女性職員が降任(降格)処分となったからだ。

 分限免職とは、懲罰的な意味合いで職を免ぜられる懲戒免職とは異なり、単に勤務成績がよくない、職場そのものがなくなるので職を免ずるというものだ。

 制度上、勤務成績不良による解雇や降格処分は公務員といえども存在するが、実際にこの制度で処分されることは滅多にないという。今回の大阪市が行なったこの処分について大阪市役所のある課長代理(40代・男性)は次のように話す。

市職員「分限免職処分を受けた職員は『可哀想』」?

「処分を受けた3職員について市職員間では『可哀想』という声が出ている。なぜなら彼、彼女らは、その仕事ぶりから社会性やコミュニケーションが他の職員より不得意だった可能性があるからだ。報道では市の担当者が『やむを得なかった』というのはそうした意味合いが大きい。実際、もっと危ないのは大勢いるんです」

 では、今回の処分を免れた人事評価低ランクの職員とはいったいどんな勤務ぶりなのだろうか。A課長代理が続けて語る。

「遅刻することもなければ、市長が嫌う喫煙目的で職場を離れることもない。一応、残業もする。ただ日がな机には座っているだけ。微動だにせずパソコンと“にらめっこ”状態だ。もちろんスクリーンセーバーが作動すればちゃんとマウスを動かして画面を戻す。とはいえとにかく仕事は遅い。ただし、まがりなりにも“報告・連絡・相談”などの意思疎通は出来る。これが今回処分された職員との大きな差だね」

 ここでいう遅い仕事ぶりとは、資料作りを命じられ2か月かけてA3用紙に3行程度、120文字程度の文書を作った、紙に書かれている資料の数字をただエクセルに打ち込むだけの単純作業を1日かけてA4用紙1枚を仕上げる、30枚程度の会議資料のコピーを頼むと半日かかってやっと出来る……といった具合だ。そんな仕事ぶりでも分限免職とならないのには理由がある。

「仕事はできていません!」と正しい報告が出来るかどうか

「上司が仕事の進捗状況を訊ねると、彼らはきちんと、『まだ出来ていません』『(仕事の進め方が)わかりません』と報告する。今回処分の3職員は、出来てもいない仕事を、『出来ています』『わかりました』などと答えていた。公務員として“ウソ”の報告をしないのが処分されるかされないかの境目といえる」(大阪市・A課長代理)

 さて今回紙一重の差で生き残った“危ない”職員の1人は、上司から、「どうして仕事がこんなに遅いのか?」との問いにきっぱりとこう答えたという。

「謝ってるじゃないですかーっ! 仕事してないのではなくてデキないんですよ。完璧な人間なんているわけないでしょう? 長い目でみて人を育てるのが上司の仕事ではないですか?」

 一見、開き直りとも取れるこの発言は、大阪市の行政職や福祉職といった職員のみならず、公立学校の教職員のほうが酷いといわれる。大阪市教育委員会関係者の1人はこう証言する。

「市内でも伝統校として知られるある小学校の校長は、児童の父兄から成績について疑問があるので書面で回答しろといわれた。3か月かけて渡したのがA4用紙に5行程度の文書だったので余計に父兄を怒らせる結果となった。教職員にも危ないのはいますよ」

処分を免れた職員は「橋下市長に勝った者」

 大阪市長就任以来、市職員と数々のバトルを繰り広げてきた橋下徹市長だが、組合以上に手を焼いたのが、この“仕事が出来ない職員(教職員含む)たち”だったという。組合は市長の豪腕ぶりに屈した格好となったが、今回分限免職を免れた市職員たちは違う。

「あの橋下市長に勝った男・女たちだ。それは誇りに思っていいだろう。私ら管理職はもうお手上げだ」(大阪市職員・50代の課長)

 なお、今回分限免職となった2職員は市の外郭団体への再就職が噂されている。生き残った“危ない職員”たちは悪事を働かない限り定年までその身分が保障される。一片の公務員試験の合格とはやはり価値あるもののようだ。

(文・取材・写真/川村洋)

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