厚労省「マイナンバー収賄で室長補佐逮捕」の歩き方 (2/2ページ)
以前、東京大学政策ビジョン研究センター教授だった秋山昌範さんの件でも、医療データの利活用を研究するにあたって医療向けシステムの開発実績のある、秋山さん奥方経営の会社に研究費用を迂回させたかどで摘発された事件がありました。ところが、蓋を開けてみるとそういう細やかな開発実績のある中小の開発会社というのはいろんなところに根を張っていて、頑張って営業してきたわけですね。担当弁護士は弘中惇一郎さんだそうです。
今回の中安さんの件では、何しろ本人が収賄を認めておりますので、仮に贈賄側が時効成立していたとしても、今後のことを考えてきちんと立件しようとしたのは、襟を正すという意味でも正しい判断だったと思います。
逆に言えば、それだけマイナンバー関連の発注においては仕様がしっかりと考えられていたわけで、贈賄するに値する見返りが中堅以下のソフトハウスにもあったということです。実際、今回の贈賄側のベンダーも充分な売上が得られたと見る向きもありますしね。やると決まったからには国民にとって利益のある形で、旨く着地し実現して欲しいと願う次第であります。
著者プロフィール
ブロガー/個人投資家
やまもといちろう
慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数
公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)