重大病が見つかるチェックリスト「夏型過敏性肺炎」 (2/4ページ)
風邪に似た症状なので、ほとんどの人は大した病気と思わず、放置しがちです。病院でも風邪と診断されることが多く、抗生物質などで一時的に症状が改善される場合もあるので、治ったように思われることもあります。ところが、翌年の夏近くになると、また咳が出始めるのです。
こうしたパターンを繰り返すうち、慢性化して肺の機能がしだいに弱り、ちょっとしたことで息切れを起こすようになります。さらに悪化すると肺が萎縮し、酸素交換がうまくできなくなって息苦しくなり、時には呼吸不全から危険な状態にもなりかねません。
このように、夏型過敏性肺炎は、風邪に似た症状だけで終わる「急性型」と、そこから症状が進み、最終的には肺に重大な機能低下を引き起こす「慢性型」の2種類に分けられます。
「慢性型」の場合は、抗原から離れても症状は回復せず、繰り返し肺にアレルギー反応が起こることで機能障害が起こるようになりますから、毎年夏に咳が続くという人は、医療機関での受診をおすすめします。
症状が風邪とよく似ているため、わかりにくい夏型過敏性肺炎ですが、チェックシートの【4】もしくは【5】はわかりやすい特徴と言えます。原因が自宅のカビなので、自宅を離れると症状が治まってしまうことが多いのです。例えば旅行や帰省、出張で、ホテルなど自宅以外の場所に数日間滞在した時は、咳がほとんど出ない、ところが自宅に戻ったらまた症状が出る、なんて人は典型的ですね。勤めている人の場合は、職場にいる時は調子がいいのに、帰宅すると咳が出るケースも見られます。
ただし、慢性化して肺の機能が弱ってくると、抗原となるカビがなくても咳が出やすくなります。できるだけ初期の段階で、旅行中などに症状が軽くなるかどうかを観察し、可能性があると思ったら早めに受診しましょう。その際は、上記【1】~【5】の症状であることをきちんと医師に告げましょう。
夏型過敏性肺炎の原因となる「トリコスポロン」というカビは、温度が20℃以上、湿度が60%以上になると活動を始め、高温多湿になるほど繁殖し、胞子をたくさん飛ばします。