ライフネットの岩瀬大輔氏が「炎上」で評価が上がったワケ|やまもといちろうコラム

デイリーニュースオンライン

画像はライフネット生命保険ホームページより
画像はライフネット生命保険ホームページより

 山本一郎(やまもといちろう)です。某方面から「ひらがなと漢字の山本一郎が乱立しててタグがつけづらいからどっちかにしろ」と言われたので、併記することにしました。面倒くさい…。

 ところで、表題ライフネット生命の岩瀬大輔さんが、自社に志願してやってきたインターン生に単純作業を指示したところ、そのインターン生が「そんな仕事をやりたくてインターンしたわけじゃない」といって辞めてしまう事例を紹介。それを見たNetgeekが「ブラックなのではないか」と指摘して、炎上と表記した事案が発生しました。

【炎上】ライフネット生命の岩瀬大輔社長「インターンさせてほしいって言ってきた学生に名刺のExcel入力の仕事をあげたら2週間で辞めやがった。単純作業でも楽しめよ」

 何か岩瀬さんが余計なことでもいったのかと思って動画を見物にいったんですが、凄い炎上の火種でもあるのかと思っておおいに期待してワッチしていたのにごく穏当なことしか言っておらず、残念な思いでしめやかにブラウザのタブを閉じました。

ライフネット生命・岩瀬大輔社長の仕事術|単純作業こそ大切に【schoo(スクー)】

 私自身は持病があるので、以前ライフネット生命に「おう、生保入れさせろや」と打診をしても、真正面からボール球判定されて断られた経緯があったりもします。家内は何の問題もなくライフネット入れてましたが。持病があると保険も入れないのか、ちくしょうちくしょう案件であります。

 それとは別に、一件単純作業に見えるこの手の入力については、もちろん省力化したほうがいいよという話もある一方で、交友関係が知られる名刺整理や保険業務の基本となる一番低レイヤーの台帳業務というのは凄く大事な作業です。このインターン生は単純作業だから嫌だ、という話にしてしまったのは、結構もったいないことなんだろうと思うわけです。

腰の据わらない学生側がおかしいという意見が大半

 かといって、じゃあ山本お前はどうなんだと言われると、実は私の短い雇われ社会人経験時代に、お世話になった国際電気(現・日立国際電気)には結構不義理をしてしまいました。会社でやらされる「それ、知っとるわ」というようなパソコン研修に嫌気が差したのもあるんですが、その当時夜は半徹夜で証券や先物市場を見てたりしましたので寝不足で、さらには当時は初任給が21万ぐらいでした(それも、96年当時の相場からすれば良いぐらい)。

 ですが、相場が当たるときは一晩で600万とか稼いでいたこともあって、一月まじめに朝起きて通勤して18時ごろまで働いても手取りこれだけだったら、IT株いじって毎月結構な収入あったほうがいいんじゃないかと思って、国際電気を半年で辞めてしまったんですよね。親父の借金もまだまだあったし。

 いま思うと、あの研修のとき嫌々やっていた名刺の出し方や、人前での喋り方、メールの出し方といった、一通りの社会人としての立ち居振る舞いを教えてもらったからこそ、相場でそれなりに当たったただの山師ではなく、一人の投資家、知識人としていろんなところに出入りさせてもらえているのだと強く感じることがあります。

 自分の人生には何の後悔もしていませんが、もしも自分にもう少し体力があって、勤め人と相場打ちをもう何年か並行してできて下積みしていたら、違った人生があったんじゃないかと思うわけです。

 一方で、Netgeekの腹BLACKさんのいう問題意識も、分からなくはありません。やりたい仕事を見に行きたいと素朴に願った学生インターンが待ち受けた単純作業で失望したというのは、大人から見れば「まだ何者にもなっていない人がまず取り組むものとしては決して酷いものではない」といえても、当事者は別なんだろうと思います。もちろん、このNetgeekの記事に対する反響は、ライフネット生命がブラックだというよりは岩瀬さんは当たり前の対応をした、腰の据わらない学生側がおかしいという内容が大勢のようです。もちろん、ここで出ている材料だけがすべての真実ではないので、他にも双方いろんな事情や思いはあったのでしょうが、むしろ考える良いきっかけになったのではないでしょうか。

 最後に、蛇足ですが、これは「炎上」でしょうか。炎上ソムリエを気取るわけではないのですが、正直言いまして火力が足りない気がします。Netgeekでもたびたび取り上げているように堀江貴文が油田から常に出る黒煙のように過激なことを言っては炎上として取り上げられPVを稼ぐ技法もあるのでしょうが、個人的には今回の岩瀬さんの一件は小火にすらなっていないようにも思います。

 むしろ、記事後半のように、競争の激化などが原因でライフネット生命の業績がいけてなくて、KDDI傘下に入りお通夜のような株価に低迷していることのほうがよほど問題です。私はライフネット生命の生保には入れてもらえませんでしたが、まあ生活資金はあるので生保に入る必要もあまりないのですが、家内は顧客ですのでライフネット生命には引き続きの業容拡大を狙って頑張っていって欲しいと強く願う次第であります。

 日立国際電気株もライフネット生命株も一株たりとも保有していません。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

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