「イスラム国」の台頭許した”リーダー不在”と国連事務総長の不甲斐なさ (1/2ページ)

デイリーニュースオンライン

Photo by David Blackwell.
Photo by David Blackwell.

 今回の「イスラム国」を中心とした各国の動き。その動きはローマ法王が「第三次世界大戦はすでに始まっている」との言葉が示すように複雑怪奇な構造を放っている。

 トルコ軍によるロシア爆撃機の撃墜。そして、ロシア軍によるトルコ物資輸送列車の空爆、とその争いは周辺各国に飛び火し、事態はまさに混沌を迎えつつある。しかも、一連の流れに対してアサド政権を支持するそのロシアの姿勢に疑惑の目が向けられるも、今度はトルコが「イスラム国」より大量の石油を密輸している可能性が指摘され、混乱は増すばかりだ。

 そこに過激派組織アルカイダがイスラム国の幹部を狙って自爆テロを敢行し、アノニマスが「イスラム国」にサイバー攻撃を仕掛ける。もはや、国の対立ではなく、あらゆる組織がその思惑に駆られて動いているだけに何がどうなっているのか、その勢力図を把握するだけでも一苦労である。でも、なぜここまで事態は複雑になってしまったのだろうか。

 まずここで一つ指摘できることがある。それは事態の収集を取りまとめるリーダーが不在であるということ。結局、話をまとめる人間がいないので、各国が各々のスタンスで臨むことになる。パリ同時多発テロ事件を受けたフランスが積極的な姿勢を見せるのも国民感情を背景に考えれば当然なのだが、とは言っても、欧州各国の足並みが揃っているとも思えないのも結局、リーダー不在の影響が大きいと言える。

 そういう意味では、実は最大の機能不全に陥っている組織がある。それが国連だ。こうした危機的な状況に対し、ここまで存在感がないと最早致命的な感覚すら覚えるが、結局、今の常任理事国にしてもロシアや中国が独断専行かつ自国利益優先で動いている以上、やはり今の国連が世界を牽引するのは事実上不可能と感じてしまう。

「「イスラム国」の台頭許した”リーダー不在”と国連事務総長の不甲斐なさ」のページです。デイリーニュースオンラインは、イスラム国連載などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る