リアル「下町ロケット」の世界は日本経済の起爆剤になるか? (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

食糧危機と化石燃料の枯渇を救うか?

 もしも大量培養に成功すれば、食料危機と化石燃料の枯渇という2つの大問題を一気に解決へ導くかもしれない可能性を秘めているのが、ミドリムシ事業だ。「国産バイオ燃料計画」として打ち出し、まるで「下町ロケット」のように同事業に取り組んでいるのが東大発のバイオベンチャー、株式会社ユーグレナだ。

 ユーグレナは現在、東京大学内にラボを持ち、千代田化工建設、全日本空輸など大手企業と連携し、2020年までに航空機向け燃料を実用化することを目指している。12月1日の国産バイオ燃料計画の会見では、同社の社長・出雲充氏が「オールジャパンのバイオジェット燃料にする」と意気込みを語った。

 同社の展開するミドリムシ事業は、世界で10億人以上が困っているという食料問題の解決にも注がれている。栄養価の高いミドリムシを粉末に加工し、貧困にあえぐ地域に届けようというのだ。食品としての万能性は"ホリエモン"こと堀江貴文も2005年に注目し、「大量培養する自信があるなら、お金を出すよ」と援助を申し出たという。

 これらミドリムシ事業の課題は、割高な価格。航空機燃料としては石油のジェット燃料より価格は約10倍に及び、食品としても割高で貧困地域の人には手が届かないという。価格を抑えるために今必死に取り組んでいるのが、ミドリムシの大量培養となる。

 明るい兆しもある。ミドリムシ食品はすでに商品化され、"スーパー食品「ユーグレナ」"として18日に情報番組「バイキング」(フジテレビ系)で取り上げられ、「興味津々!」「飲もうかな、どうしようかな〜」と視聴者の関心を買っている。

 ミライとミドリムシは、世界を股にかけ、日本経済の起爆剤の一つとなるのか。

蒼木学(あおきまなぶ)
フリーの取材記者。エンタメ・芸能から教育・社会問題まで幅広く取材を行う。興味のあるトピックは人工知能、近現代史。
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