リアル「下町ロケット」の世界は日本経済の起爆剤になるか? (1/2ページ)

デイリーニュースオンライン

日曜劇場「下町ロケット」公式HPより
日曜劇場「下町ロケット」公式HPより

 平均視聴率が22.3%(ビデオリサーチ調べ=関東地区)を記録した20日放送のドラマ「下町ロケット」最終話。技術者の情熱を描き切り、好評のうちに幕を閉じた。しかし現実世界も負けていない。日本国内では今、地球温暖化や食料問題など地球規模の大問題を解消しようと、リアル「下町ロケット」の世界が展開されている。

地球に優しすぎる新発明

 世界で約11億台以上普及すると言われる自動車。その排気ガスによる二酸化炭素は地球温暖化に拍車をかけると問題視され、世界中で長年議論されているのは周知の事実。今、この排気ガスを出さないと注目を集めているのが、2014年12月発売のTOYATAの燃料電池自動車「ミライ(MIRAI)」だ。

 1992年から開発されていたというミライは、水素で作った電気で走るためガソリンを一切使わず、排出するのは水素と酸素が結びついてできる水だけ。走行距離も1回の充電(3分弱)で650kmを走るなど、ガゾリン車とほぼ同等。1台あたりの価格は、税込み723.6万円と高級外車並みだが、それでも3千台以上の受注を受けるなど大人気だ。

 ここまで述べるとなんだか宣伝じみているが、ミライは課題が多く、発売から1年経った今も普及しているとは言いがたい。

 課題の一つは生産量だ。ミライの製造は熟練工が手作業で行ない、「1日3台」が限界だという。2015年内は計700台を、2016年は2000台を生産する計画を立てているが、需要に追いついていない。なかには「納車3年待ち」という報道も出ており、ネット上では「こんなので普及するのか……」「そんなにかかったら未来じゃなくて過去になっちゃう可能性があるな」「納車時期は遥かミライですってか」「納車される頃にはマイナーチェンジしてる」と指摘する人も少なくない。

 もう一つの課題として、同自動車の燃料補給を行う水素ステーションの不足が挙げられる。それだけに、「まだまだ一般家庭用には不適格だな」「(水素ステーションが)少なすぎるのが最大の問題」「近くに水素ステーションあるけど、出先に無いと意味ないもんな」と厳しい声が飛んでいる。

 ミライは欧米圏でも2015年秋から販売をスタートしているが、日本国内と同様に水素ステーション不足が生じると思われる。水素自動車は画期的な発明と言えるだろうが、11億台以上も自動車が走る世界で普及して地球温暖化抑制の効果を上げるには、まだ長い時間を要しそうだ。

「トヨタは水素自動車の特許を無償開放して他メーカーの参入を促し、インフラ強化を進めようとしています。また欧米では、電気自動車を押す姿勢が強いのも事実。トヨタの水素自動車とどちらが覇権を握るのかは、今後の成り行き次第でしょう」(報道関係者)

 ミライは環境に優しい究極のエコカーではあるが、乗り越えるべき障害はまだ多そうだ。

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