日韓「従軍慰安婦」解決交渉の是非で審議中でござるの巻|やまもといちろうコラム (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

「心からお詫びと反省の気持ち」と言っても……

 交渉の果ての全文については、すでに各所で掲載されていますが、正式な外交発表での合意内容はWSJのものを見る限り、韓国は韓国なりに困惑と忸怩たるところを持ちながらも、問題の解決に相当な苦労を経て踏み出した様子は見えます。

Full Text: Japan-South Korea Statement on ‘Comfort Women’

 これは、裏返すと「韓国政府は、韓国国内の世論が如何に跳ね返ろうとも、”国として”これらの従軍慰安婦問題を対外ロビーの具に使うことはむつかしくなった」という意味です。いわゆる国際的な関心事である日韓関係のイシューとしての従軍慰安婦問題は、日韓政府間では解決済みであり、もしも外国で従軍慰安婦問題で韓国系が暴れていたとしても、それは韓国政府の国内問題としてきちんと対処しますよ、と蓋をしたという話になると思います。

 もちろん、これはこれで「そうは言っても、日本は果たすべき約束を履行しなかったので、この日韓政府間合意は無効だ」と蒸し返される可能性は当然ありますし、それは少なくないかなあと感じます。まあ10億円で韓国政府の誠意を引き出し可能性を「買った」と考えれば、韓国政府が法的賠償の旗を下げたことで時間稼ぎにはなるのだろう、次問題になるころには本人問題としての従軍慰安婦はその高齢による死亡と共に真の意味での歴史になっていてくれるかもしれない、という意味で良いのではないか、と。

 というところで、NHKから次のような話が出ました。

日韓合意で専門家 一定の評価も「予断許さず」(NHKオンライン 15/12/28)

 これをもって落着とはいえないまでも、いままでさんざん慰安婦問題が日本国内での反発を呼び起こして、「慰安婦が大金を稼いだ」「ゆすりの材料に慰安婦問題を使っている」と日本国内で声高に発信され続けたあとで、安倍晋三首相が「心からお詫びと反省の気持ち」と言っても、向こうには響かないのは承知のうえでしょう。

 結局、外交であって民事の契約ではない以上、民意が反発すればまた元の木阿弥になることも覚悟のうえで、ゆったりとした気分でフォローアップ事業の内容を観察するのが良いのではないかと感じました。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

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