「ヤクザと憲法」という映画を観て考えたこと|プチ鹿島の余計な下世話! (1/2ページ)

東京ブレイキングニュース

「ヤクザと憲法」という映画を観て考えたこと|プチ鹿島の余計な下世話!
「ヤクザと憲法」という映画を観て考えたこと|プチ鹿島の余計な下世話!

「ヤクザと憲法」という映画が今月から公開中だ。東海テレビドキュメンタリー劇場版第8弾。昨年末、私が司会をつとめたトークライブのなかでこの映画の話題が出た。久田将義(東京ブレイキングニュース編集長)、畠山理仁(フリーランスライター)、須田慎一郎(ジャーナリスト)、青木理(ジャーナリスト)各氏が参加したトークライブでのこと。話が暴排条例のことになり、青木氏が排除される側を追った(つまりヤクザ)この映画のことを話した。

■暴排条例には"日本社会"の嫌なところが集約されている?

 そういえば、暴力団排除条例(いわゆる「暴排条例」)についてとてもわかりやすく語られていたのが「僕たちの時代」(青木理&久田将義・毎日新聞社2012年発行)だった。このなかで、久田将義が「暴排条例には今の日本社会の嫌なところが集約されていると思っているんです。」と語りだすと、青木理はそのイヤな感じについて3点述べる。

・「異物排除」
・「何がアウトで何がセーフなのか、条文が極めて曖昧でよく分からない。そうなると警察の恣意によって取り締まられたり、取り締まられなかったりという現象が起きかねない」(=警察の天下りや利権が急拡大する可能性)
・「異物が生まれてくる背景も洞察してみようとせず、ただ排除するんだという動きを嬉々として受け入れてしまっているような日本社会の現状」

 久田・青木氏とも暴力団を擁護しているわけではない。「犯罪を犯したなら、犯した犯罪によって取り締まり、処罰すればいい」だけであり、属性でひとくくりにして社会から排除しようという発想や、それを受け入れる空気についての違和感を言っていた。

 異物を取り除き、無菌化を目指す社会。私は「寅さん」を思い出したのである。寅さんは暴力団員ではなかったけれど今は暴力団に分類される的屋だ(映画パンフにも現在の寅さんの立場の解説がある)。もし警察の判断によって寅さんがアウトと言われたら? その判断をもし近所の住民が「嬉々として受け入れ」たなら?

 大打撃を受けるのはタコ社長だ。寅さんとつき合う零細工場経営者のタコに「コンプライアンス」という世論が襲い掛かる。工場は倒産の危機を迎える。タコの工場には、さくらの旦那・博もいる。皆行き場がなくなるだろう。

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